文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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書評:50代から始める知的生活術 「人生二毛作の生き方」

2016-01-10 09:55:55 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
50代から始める知的生活術~「人生二毛作の生き方」~ (だいわ文庫)
クリエーター情報なし
大和書房


 90歳を過ぎても知的活動を続けておられる外山滋比古さんの「50代から始める知的生活術 「人生二毛作の生き方」」(だいわ文庫)。本書を読むと、高齢になっても知的活動を続けられる秘訣が分かるような気がする。

 高齢になっても知的活動を続けていくためには、健康の維持が大切になってくる。本書で勧められているのは、金もかからず時間と場所を選ばない「散歩」だ。氏は自宅周りを歩くのではなく、定期を買ってわざわざ遠くまで歩きに行っているという。こうすると定期を使わないともったいないので、小雨くらいでは止める理由にならないそうだ。

 よく認知症予防のためには、人と話すことが大切だということを聞く。話し相手もなく家に閉じこもっているのはいけない。氏の場合は株式投資好きの仲間と「重ね会」という会を開いており、またこれとは別に「グリーンクラブ」というテーマを絞らない会も楽しんでいる。どちらも様々な職業の人々が集まる雑談会、放談会のようなものらしいが体調維持に非常に効果的だという。

 また知識を積み重ねていくことより、「考える力」を付けることの重要さも説かれている。本を読むにしても、無用な知識を詰め込むための読むのではなく、未知のことを自分の頭で考えながら読まなければならないというのだ。氏はこれをベータ読みと呼び、知っていることを読むだけのアルファ読みと区別している。 

 つまりは適度な運動と、人と話をすること、自分の頭を使うことがそ心身の健康を保っていくために必要なことだということで、これらは一般に言われている健康法とも合致している。要はそれを習慣化して実行するかどうかということなのだろう。いくら頭でそう思っていても、実行しない限りは何の効果も得られないのだ。

 それでは高齢になっても心身の健康を保って何を行うのか。それが氏が提唱する人生の「二毛作」なのである。勤め人には必ず定年というものがある。しかし定年になってから何もやることがなければ、無意味に老け込んでいくだけだ。男女とも平均寿命は80歳を超えた現在、定年になったとしてもまだまだ先は長い。心身が健康でありさえすれば、まだまだかなりのことができるはずである。

 氏が勧めているのは、30代から資金づくりを行い、40代から「二毛作」の準備を進め、50代になったら、本格的に考えて、「決断」をするということである。そして二毛作目の仕事は、必ずしも一毛作目の仕事に引きずられる必要はない。自分が本当に興味があることをやっていけばいいのである。これらに関して氏が行ってきたことも紹介されているので、「二毛作」人生を目指す人にはとても参考になるだろう。

 もっとも、自分はもう氏の勧める年齢を過ぎてしまったという人も多いのではないだろうか。だがあきらめる必要はない。幾つになってもそれなりの方法というものはある。大切なのは自分の頭で考えること。あきらめなければ道は開けるのである。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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