文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

第1回チキチキ コラム de PVバトル参戦(まとめ)

2017-01-10 10:47:00 | その他

 以下の通り、「「シミルボン」主催の第1回チキチキ コラム de PVバトル」にコラムを投稿しております。

 1月末までのpvが多ければ勝ちというシンプルなルールになっているので、もし興味がある方がおられたら覗いてやってください。

『マンガ限定。もし結婚できるなら、この作品のこのキャラクター』
 → 「理想の二次元嫁を追及する」
 → 「パンチラシーンも上品、アニメも開始!」


『お腹が空いてたまらない! 飯テロ注意!な作品』 
 → 「食欲だけでなく性欲も刺激!?」


『出勤したくない! そんな時、上司・同僚の机にこっそり置いておきたい一冊』 
 → 「有給を取るのに文句を言わさないように!」
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書評:水鏡推理Ⅲ パレイドリア・フェイス

2017-01-10 08:47:56 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
水鏡推理3 パレイドリア・フェイス (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

・松岡圭祐

 本書は、文科省の一般職事務官である水鏡瑞希が、総合職の官僚たちを巻き込んで、研究費に関する不正を明らかにするというシリーズの第3弾となる。

 今回瑞希が暴くのは、地震の後で突如現れたという「人面塚」と「地磁気逆転」に関するインチキ。なお、サブタイトルの「パレイドリア・フェイス」とは、色々な模様やパターンなどが人の顔に見えてしまうような心理現象のことである。そう、よくある「ここに霊が写ってますね」というあれである。

 そして、「地磁気逆転」について。こちらは、現在北極がS極、南極がN極になっている地球の磁気が、過去には逆転していた時代があったというものだ。最近の研究では、一番新しい逆転現象は、千葉で見つかった地層から、77万年前だという説が有力になっているようだ。

 ところが、この作品は、新潟、鹿児島そして栃木県の北部で75万年前に地磁気逆転が起きた証拠の地層が見つかったという設定だ。そして栃木の地層の近くには、上空から見ると人の顔に見えるという、人面塚が出現したのである。

 一言断わっておくと、このシリーズは科学技術に関する研究の不正を暴くという内容から、一応科学技術をモチーフにしていることになっているのだが、この部分に関しては結構眉唾なところが多い。自分の専門に近い部分ならよく分かるのだが、かなりむちゃくちゃなことも書かれている。また、作品の中で扱われている不正の手段も、なんともチープなもので、実際にこんなアホなことをするような科学者がいるとも思えない。おそらく、著者は科学技術に関してはそう詳しくはないのではないかと推測する。今回の手品の種明かしも、なんといえばよいのか・・・。

 しかし、それでもこのシリーズを読み続けているということは、別の魅力があるからだとしか言いようがない。瑞希のひたむきさ、一生懸命さが、総合職の官僚までも巻き込んで、大きな敵に立ち向かっていく。そこがとってもいいのだ。要するに「ヒロインの魅力」、この一言に尽きるのだろう。(もっとも最近では、ツッコミどころを探すのも楽しみの一つになっている節も(笑)。なお私は、ツッコミながら読むのも、立派な本の楽しみ方の一つだと思っている。)

 それにしても、某ネット書店のレビューを読んでみると、科学技術的なところへのツッコミがほとんどない。それどころか、その部分を褒めちぎっているようなものも目立つ。これが、この国の科学リテラシーの現状なんだろうなと思うと、少し悲しい気もするのではあるが。

☆☆☆

※初出は、ブログ「風竜胆の書評」です。

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経営者も世間も呆れることばかり

2017-01-09 09:01:11 | オピニオン
 テレビを視ていると、どこかの飲食店の経営者が、バイト従業員に対して、「今後は大型連休中は休みの希望を通さない」旨の張り紙をしたことがネットで話題になっていることを報道していた。

 まずこの経営者の態度に呆れる。そもそもバイトとは、時給をもらって働いている時間以外は、店に対して何の責任もないはずだ。安い賃金で働いてくれて、ボーナスも退職金もない。店にとっては神様のような存在ではないだろうか。本来、大型連休に人を集めるのは経営者の責任だ。バイト従業員が休むから、店を開けないのなら、もっと賃金を払って、働いてくれる人を集めればよい。時給を2倍にすれば、働いてくれる人はいくらでもいると思うぞ。そしてそれが、資本主義、市場主義社会の大原則のはずであり、経営者の責任だということなのだ。

 従業員を拘束したいのなら、正社員を増やすべきだろう。普段は安い賃金という恩恵にあずかっておいて、都合のいい時は経営者の論理を振り回すというのは、なんとも見苦しい。もっとも、正社員にしたところで、有給を自由に取る権利はある。会社側には時季変更権しかないことは念のために付記しておこう。

 しかし、この放送、同時にリアルタイムで視聴者の投票をしていたのだが、呆れたことに7割が店に協力すべきだと答えていた。こんなことだから、日本の職場では、労働者同士で足を引っ張り合って、長時間労働がなかなか減らないというような状況が続いてしまうのだ。日本全体が、根本にに労働に対する考え方を変えない限り、ライフワークバランスというような言葉はむなしく聞こえてしまう。
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書評:本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第一部「兵士の娘I」

2017-01-08 17:53:01 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第一部「兵士の娘I」
クリエーター情報なし
TOブックス

・香月美夜

 本が大好きで、死ぬときは、本に埋もれて死にたいと思っていた女子大生の本須麗乃(もとすうらの)。 大学図書館に就職も決まっていたのに、地震で本当に本に埋もれて死んでしまった(はず)。ところが、目が覚めると、なぜか異世界にいて、マインという虚弱体質の幼女として生まれ変わっていた。

 その世界では、紙も印刷技術もなく、本などは、羊皮紙に書き写して作る超高級品。マイン一家のような庶民家庭ではお目にかかることもない。(なにしろ羊皮紙1枚で、父親の兵士としての給料1ヶ月分が飛んでしまうのだ。ちなみにインクも目の玉が飛び出そうなほど高い。)

 本が手に入らないのなら、自分で作ってしまえとマインが奮闘するというのが基本的な流れのようだ。なにしろ彼女には、マインとしての記憶だけでなく、麗乃の記憶もあるのだ。どこかの名探偵じゃないが、体は子供だけど頭脳は大人状態。おまけに、元々本好きなので、色々な知識も半端じゃない。

 麗乃がマインとして生まれ変わった世界は、文明的にはかなり遅れているようだ。料理やアクセサリー、書類づくりに至るまで、彼女が持つ大人の文明人としての知識は、周りの者を驚かせる。

 なにしろ、見かけは可愛らしい幼女で、おまけに病弱のために人より発育が遅れているのだ。本当は5歳なのに3歳に間違われることもあるような娘である。それが、ちゃんと書類づくりや、大人も苦手な計算なんかもやってしまうのだから、周りが驚くのも当然だろう。(ただ、マインの父親は、可愛い病弱な娘としか認識していないようだが。)
 
 肝心の本作りの方も、エジプト文明(パピルス)からメソポタミア文明(粘土板)、黄河文明(木簡)と、なんとか紙の代わりになるものをと試してはみるのだが、これが失敗の連続。次はいよいよ紙づくりにチャレンジするようだが、果たしてどうなるのかは、次巻以降のお楽しみのようだ。

 最後の方で、魔法に関する話題も出ていたので、この世界には、魔法も存在しているようである。この魔法が、どうマインに絡んでくるのかも気になるところである。

 ところで、この表紙イラスト、最初は、とっても可愛い美少女イラストに見えたのだが、実際に手に取るとまさかの美幼女(笑)。いくら美少女ものが好きな私でも、さすがに対象レンジ外だ。しかし、ストーリーはなかなか面白く、この1巻目が終わった時は、すっかりマインちゃんの魅力に夢中。

 果たして、マインは、この世界で本を作れるのか。そして望み通り司書になれるのか。続きが気になるが、まさか、「夢オチ」だったなんてことはないよね。

☆☆☆☆☆

※初出は、ブログ「風竜胆の書評」です。


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書評:処刑人

2017-01-04 17:04:40 | 書評:小説(その他)
処刑人 (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・シャーリー・ジャクソン

 このタイトルや表紙イラスト、そして本の紹介に「幻想長編小説」とあったことから、ゴシックロマン風の作品を想像していたのだが、読んでみると予想とは大分違っていた。

 主人公は、ナタリーという17歳の少女。父の選んだ女子大に入学することになるのだが、この作品に描かれているのは、大学への入学前にナタリーの家で開催されたパーティの様子と彼女の大学での生活。分量としては、前者が5分の1強で、残りが後者となる。

 どうも、ナタリーは妄想癖のある少女のようだ。最初の頃は、殺人の容疑者として刑事に取り調べられているようなやり取りがそこかしこに出てきている。もちろん、実際にはそんな場面はなく、すべて彼女の頭の中だけで起きていることだ。

 これなどは、まだ妄想とすぐわかるが、この作品、何かを暗示して書かれているようなことが多いので、どこまでが現実で、どこまでがナタリーの妄想を描いているのかがはっきりしない。

 例えば、彼女はパーティの日に、見知らぬ男と、どうもあれをやっちゃったらしいのだが。これも彼女のセリフから想像できるだけ。実際にあったことなのか、それとも妄想なのかは今一つ分からない。

 また、本の紹介には、俗物だらけの大学の中で、他とは違うという「トニー」という風変わりな少女のことが出てくる。この「トニー」、なかなか出てこないなと思っていたら、初めて名前が出てくるのが、全体の3分の2当たり。そもそもこの「トニー」にしても実在していたのかどうか。どうもナタリーの妄想説もあるらしいから。

 全体に暗喩に満ちた幻想的な文体なのだが、これは裏を返せば「よく分からん!」という一言に尽きる。「文理両道」を標榜はしているものの、私の基本姿勢は、「文より理」、「感覚より論理」である。正直なところ、このような感覚的な作品は、私にとっては一番苦手な部類かもしれない。

 解説の深緑野分氏は、<物語のあちこちに”留め具”が隠されているから、最後まで読んでから冒頭に戻り。”留め具”をひとつづつ外して蓋を開けてみるといい>(p.335)と薦めている。そうすると物語が二重構造になっており、最初はいびつだと思えたものが重要な意味を持っていることが分かるというのだ。私もやってみようとはしたのだが、即寝落ちしてくじけてしまったことを告白しておこう。

 ただ、作者が描きたかったものの一つは、ナタリーが大人になるための通過儀礼(イニシエーション)だったのだろうということはなんとなく想像できた。なぜなら、この「イニシエーション」という言葉が作品中に出てくるからだ。ナタリーが入った寮の上級生たちが、夜中に新入生を集めて、イニシエーションと称して色々なことをやらせる場面があった。これなど、もしかすると”留め具”の一つなのだろうか。このことは、最後にこう締めくくられていることからも想像できるだろう。

<それまでのナタリーとは異なり、今や一人きりで、成熟し、力強く、少しも恐れてはいなかった。>(p.334)

☆☆

※初出は、書評専門ブログ「風竜胆の書評」です。
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