霧、17度、98%
香港、毎年一月の下旬から三月にかけて、香港芸術節があります。いろんなジャンルのコンサート、バレーなどが市内の5,6カ所の文化ホールで行われます。手頃な値段で、世界各国の出し物があり楽しみな季節です。
先日、家人と二人で出かけたのは、TINARIWENのコンサートでした。副題が砂漠のブルースと題されたこのコンサート、広告を見てチケットを頼んだものの、果たしてどこの砂漠かしら?というくらい不勉強なまま、当日を迎えました。
席に着くと、なんとまー、香港らしく多種多様の国籍の集まりでした。香港人より、外籍の人の方が多かったのではないでしょうか。
席においてあるパンフレットを読んだ家人から、アフリカのマリから来た歌い手達と知りました。はて、マリってどこにあったかしら?アフリカだから、砂漠はサハラ砂漠だということぐらいは解ります。
コンサートが始まりました。 「サバ?」とステージから呼びかけられますが、聞き手はなかなか反応しません。あー、フランス語ですから、解らないのかなあ?
マリはやはり、以前フランス領で1960年代に独立したそうです。当然今でも公用語はフランス語だそうです。
ところが、彼が歌う曲は、アフリカの現地の言葉です。まるで、コーランみたいな響きです。と言っても、民族音楽ではありません。エレキギターが3本。長ーく奏でるような歌声と、エレキのアップテンポ。
彼らの歌う歌はラブソングもありますが、政治的な意味合いの歌もあるようです。
始まる前に簡単なお詫びがありました。なんとオリジナルメンバーが二人も、出国、入国のトラブルで来れなかったこと、代わりのメンバーでコンサートをするというのです。未だに、政治不安が続いているアフリカのマリ共和国らしい話です。そのとき、初めて知ったのですが、先日、グラミー賞のワールドミュージックアルバム部門を勝ち得たそうです。
音楽って、ほんとに不思議ですね。あそこに集まった人のうち、歌の意味が分かる人はほとんどいなかったかもしれません。それなのに、最後はみんな総立ちです。あの臨場感は、やはりレコードでは味わえないものです。
TINARIWENのバックボーンやマリの国を知ると、あの冗漫な、歌声もしっくりと心に寄り添ってきます。