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美術館巡りだけが目的だった今回の上京、3つ目の美術展は「アルチンボルド展」でした。実は、アルチンボルドという画家すら知りませんでした。さて、どこの美術館にと思って探している時に出会ったアルチンボルドでした。16世紀、ハプスブルク家が全盛の頃のイタリア生まれのアルチンボルトです。
パンフレットにもなっている「春」と題された作品を見て行こうか行くまいか考えました。人の横顔です。でもその横顔単なる顔ではなく花で構成されています。しかも実に精密なタッチです。今まで見て来た絵とは違います。ピカソのような抽象的な絵ではありません。一見不気味に思える絵まであります。迷いましたが、奇抜さに惹かれて行くことにしました。
だまし絵、寄せ絵などと言われるのがアルチンボルドの絵です。花や鳥、魚を寄せて一つの顔を作り上げます。パッチワークのようにも見えます。その一つ一つのパーツはそれはそれは精緻なタッチです。そこだけ見ていると写実派の絵かと思われます。「すごいわね。」と思いますが、この私の琴線に触れる絵ではありません。16世紀という時代にこういう発想をどこから得たのだろう、今まで絵を観て来て得た感情とは違うものが芽生えます。
まだ東洋との行き来が少なかった頃、東洋の花や生き物を実際に見て描かれてそうです。そこには、抱えられているハプスブルック家の絶大なる力を見せつけるためのものであったと言われているそうです。ルドルフ2世へのオマージュでしょうか。
アルチンボルドの代表的な8枚の絵が集結しています。8枚を行きつ戻りつして観てみました。やはりすごい絵であることには間違いありません。私は絵画を勉強したこともありません。ただ、絵を観て心が幸せだと感じるのが一番です。アルチンボルドの絵はそうした心が晴れ渡るような感覚は起きなかったのですが、時間が経つにつれいくつかの絵が記憶に蘇ります。不思議なアルチンボルドの作品でした。