曇、15度、69%
香りをつけた中国茶といえば「ジャスミンティー」、中国の「工芸茶」の起こりはこの「ジャスミンティー」だと聞いたことがあります。つまり香りをつけるという一手間かけたお茶です。その後、様々な花を芯に白茶の葉で包みお湯の中で花咲かせるものが出来たのだそうです。ガラスの器の中で開いて行くお茶の蕾を見る時間は静かに過ぎます。
日本ではカーネーションを芯にした「工芸茶」が母の日のプレゼントにされていると知ったのは今年の母の日のことでした。日本らしい贈り物の仕方です。母の日に息子さんご夫婦から贈られた貴重な「工芸茶」を友人が分けてくださいました。中国でも「工芸茶」はお高いお茶です。
お茶の産地福建省で作られる「工芸茶」、花色を生かすためにはお茶の色が濃くては見栄えがしません。そこで細長い銀の葉を持つ「白茶」が使われます。 熱々のお湯を注いでゆっくりと花開くのを待ちます。外の「白茶」の葉が開き中の花の蕾が見えます。よく使われる花は真っ赤なバラです。今回いただいたのはオレンジ色のマリーゴールドでした。しかも大輪です。しっかりと開くまで時間にして8分ほど。他のお茶を入れる時とは違いゆっくりとお茶のグラスを見つめて待ちます。
そういえば中国の人たちはお茶を入れるのにせかせかとしません。丸い急須を前にのんびりと葉っぱが開くのを待ちます。決まりごとなど少ない中国のお茶の入れ方です。以前は空き瓶にお茶の葉を入れお湯を注いで蓋をして持ち運んでいる人をよく見かけました。時間の流れをお茶と共に過ごす中国人です。
いただいたマリーゴールドの「工芸茶」はスッキリとした深い味があります。口元にグラスを寄せるとマリーゴールドの甘い香りがしました。一服にふさわしいお茶でした。