晴れ、12度、78%
家人が日本に出張していました。行った先は、長崎県の佐賀県にほど近い玄界灘に突き出したところです。福岡から伊万里、伊万里から電車で行ったたようです。着いた駅は、駅舎のない無人駅だったとか。話が長くなることも考えてその晩は、伊万里に宿を取ってありました。
夕飯をすませ、伊万里の街を歩いていると、福岡に本店がある本屋の支店が駅前にあるよと、家人から電話がありました。寒い夜でもあったからでしょう、お店の中は人影もまばらだったようです。その本屋で私にお土産を買って来てくれました。
その中の一冊が、「どろんこハリー」です。子供の絵本や、児童書はほんとに息が長く、繰り返し繰り返し版を重ねています。「どろんこハリー」だって、昔、息子に読み聞かせた本です。大田区の図書館で借りて来た本の中の一冊でした。
香港に我が家がやって来たのは、息子が小学4年になった時でした。ちょうど、絵本と児童書の境の頃で、香港に来る荷物の中には、読み古した絵本もたくさん入っていました。私自身も絵本を手放したくなかったのです。家人が、求めて来てくれた、「どろんこハリー」に誘われるように、久しぶりに本棚の上の絵本をだしてきました。絵本は、原本の大きさがまちまちです。普通の本のように、整然と並べられず、目に付かないところに横積みにしてありました。
一冊、一冊、懐かしいものばかりです。あら?その中に、 「どろんこハリー」とよく似た絵をを見つけました。「ベンジーのふねのたび」。やはり犬のお話です。何と、「どろんこハリー」と同じ絵の作者です。マーガレット ブロイ グレアム。
本の裏を明けると、 1984年に求めた本です。28年前です。私ですら、すっかり「ベンジーのふねのたび」って言う本を持っていることを忘れていました。まして、家人はご存知あるはずがありません。
家人が持って来てくれた一冊の絵本のおかげで、土曜の午後は、本棚の前で次から次に絵本を読んでいました。不思議ににゆっくりとした時間が流れます。
こうして、絵本を土産にしてくれる家人、実はずいぶん前は私のこうした絵本好き、児童書好きをかなりなじったものでした。子供の本なんて、と。でも、35年近く一緒にいると、少しは理解してくれたのかもしれません。