晴、29度、81%
以前にも書いたことがあるかもしれません。雑誌は編集者が変わると、ちょっとしたことですが変化が出てきます。読み手によりますが、ちょっとどうもと思う変化もあれば良くなったなあと思うことも。新潮社から出ている「考える人」という雑誌があります。本全般について書かれた雑誌です。香港にいる頃は、出張で日本に帰る主人に買ってきて欲しいと幾度も頼んだ雑誌です。当時の編集長が松家仁之さんでした。この「考える人」のメールマガジンが1週間に一度配信されます。編集長直々の古今東西の本の話でした。これがまたとても面白く次の週を待ちわびたものです。確か糸井重里さんも絶賛なさっていました。いく年か前に松家仁之さんは「考える人」の編集長をお辞めになりました。以来「考える人」は時折本屋で立ち読みで済ませます。
編集長を退かれて松家さんは本を出されました。書評には恋愛小説と出ています。しばらくしてまた本を書かれました。これも恋愛小説と書評に出ています。2冊とも手に取ることもありませんでした。私が持つ松家仁之さんのイメージに恋愛小説がついて行きません。昨年秋に出た新刊「光の犬」は3代にわたる家族の話だと知り求めました。北海道の東に住む産院を舞台にした親子3代の話です。生と死があり、そこに生きる人ひとりひとりの思惑があり、合間に北海道犬の話が出てきます。よくまとめられた本でした。
翌日には、堀江敏幸さんの「曇天記」を読みました。 堀江敏幸さんは第1作の頃から読み続けていた作家ですが、一時期視点や表現が女性的になってしばらく遠ざかっていました。テレビ出演、女性雑誌に執筆なさっていた頃です。私の悪い癖で作家を外見で判断することがあります。堀江敏幸さんは見た目も男性的な方ではありません。ところが読み始めると繊細な視点とその思いもかけない比喩や表現にはっとさせられます。「曇天記」は曇り空の日に街を歩いて拾った話を集めた本です。
このところの暑さで昼間は家にこもって本を読みます。日本語で書かれた本は1日1冊読み上げます。これではどうも不経済です。また横書きの本に戻ろうと思っていた矢先に、「曇天記」に書かれていた本が気になりました。以前読んだ本です。誤ってこの家の整理のとき捨ててしまった本です。17冊の全集です。古い本ですから17冊全部買っても大した値段でもありません。ネットで調べると揃いで売っている古本屋がありました。迷った挙句、プチンとしました。まあいいか、まだ暑さが続きそうです。17日間の楽しみができました。