く同好趣味の男性で、定年になったばかりの人、Aさんと、今年いっぱいで定年を迎える人、Bさんがいる。
社交ダンスは高齢化が進み、60代でも若い部類に入る。
Aさんは、365日、毎日自由なんで、いつでも声をかけてくれたら出向いてダンスします、とのこと。
リタイア1年生の今年、年金で暮らしていけるか様子を見て、経済的に無理そうなら職探しするらしい。
職探しって、そう簡単に見つかるんですか?と聞いたところ、ハローワークで見つけられるし、見つかるまでは失業保険が半年ほどあるという。
楽観的な、その大雑把な計画。
どこも願いが叶わないとすると、ダンスパーティ会場で、来場するお一人様女性を相手に踊るアテンダントとしてパーティ主催者に雇ってもらおうかと、希望を抱かれている。
その一番下の希望さえ、そうそう簡単には行かないと、私は悲観的な見通しを立てている。
もう一人のBさんは、もっとスゴイ。
ダンス教室にスタッフとして雇ってもらう、、、
特定の女性に請われる形で、ダンスアテンダントをチャーターとして雇われる、、、
豪華客船のダンスアテンダントとして雇われる、、、
、、、などなど、夢を描かれている。
なぜ、夢かというと、、、
彼らのダンス技術。
プロでもなかなか教室運営や雇用は難しいのに、素人、ましてや競技にも出ていない、個人レッスンも受けたことがほとんどないレベルで、大きく出たものである。
確かに、下手なわけではなく、あまり踊れない女性をそこそこ踊らせることは出来る。
が、とりあえず及第点といったところか。
彼らは、日頃、お年寄りが多いサークルに所属して、体育館などで練習している。
講師であるプロに生徒が支払うレッスン料はわずかで、行政から生涯学習支援の予算が割り当てられている。
サークル歴は長くても、仲良しお遊戯会みたいな和気藹々としたもので、通常、団体レッスンは、足型だけを覚えるもの。
社交ダンスは、上級になるには個人レッスンを受けなければ困難だと言われる。
個人レッスンは、1時間1万円ぐらいで、庶民には、ばか高い。
1週間に1回でも月4万円。他にも諸費用もいるだろうし、家庭を抱えるサラリーマンには重いかも知れない。
女性は、ばんばん使う人は使う。(男性も使える人は使う)
月10万円は下らない人もいる。
先生と一流ホテルでデモにでも出ようものなら1回50万や100万はかかる?
1年に2回出て、10年、20年続けるとマンションぐらいは買えそうだ。
「趣味にはお金がかかるものなのよ」とさりげなく仰るマダム。
しかし、わたしはどうもその臭い、好きになれない。
言葉の奥には、特権意識がプンプン。
まあそれは人それぞれ。各自の道として、、、
それとは別に、スポーツ部門として競技ダンスがある。
大学生の頃から学連でやっている人も少なくないが、違いは歴然である。
50歳を過ぎてから始める人もいるが、ペアレッスン費や初期投資の費用は見ておかなければならない。
AさんBさん、二人とも、見た目を競う競技には興味がないそうだ。
ちなみに、見た目を競う競技技術を身につけるには、陽だまりサークルでは無理。
競技は個人レッスン2回分より安い年間参加費さえ払えば、誰もが1年間出場できるから、万年ビリでもよいなら我流でもオッケーだが。
サークル内では彼らは若手で、踊れる部類なので、サークル内だけでのポジションで自らを評価している。
サークル以外では、厳しい。
今更、せっかく得た居心地良い居場所を捨ててまで、時間もお金もかかる、新しい分野には挑戦しないと思われる。
別にそれでもいい。
夢は夢であり、ダメだった、となっても、それはそれ。
70歳からいきなり素人が大統領選には出られない。
自治会の会長なら大歓迎だろうけれど。
自分の身の丈に応じた夢でなくてもいいと思う。
実現は無理っぽいと思われるが、バラ色の理想の夢を描くのは楽しい。
リタイア後は、毎日、現役で働いていた頃と違い、毎日がサンデーとなる。
土日祝日だけが休みだったのが、毎日休みになる。
それからまた考えてもいい。
わたしの予想では、ダンパ通いになるんだろうと思っている。
足りない資金は、出費を抑えて、交通費や食費を削り、パーティも高額なものは見送り、年金内生活にシフトしていくことだろう。
次第に仕事をしない自分の生活に慣れてくると思われる。
家族も、大黒柱が年金になれば、現役時代の水準は確保できないことぐらいはわかるだろう。
ちょうどその頃、親は益々さらに老いてきて、サポート、介護問題が発生してくる。
忙しくなるはずだ。
現役時代に介護が重なり、遠距離介護しながら勤務していた人もいたが、AさんとBさんは、そうでなくて良かったと思う。
て、人のリタイア生活をあれこれ言っても余計なお世話である。
わたしはわたしで、好き勝手な自然体生活を満喫して、お気楽なものだ。