夜な夜なシネマ

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『スティーヴン・キングは殺せない!?』

2013年10月15日 | 映画(さ行)
『スティーヴン・キングは殺せない!?』(原題:You Can't Kill Stephen King)
監督:モンロー・マン,ロニー・カリル
出演:モンロー・マン,ロニー・カリル,クリスタル・アーネット,カイル・ブログナ,
   ケイト・コステロ,ジャスティン・ブラウン,マイケル・バーンスタイン他

7月末から各地でぼちぼち公開され、
大阪では10月初めに第七藝術劇場にて、1週間の限定レイトショー。
前述の『モンゴル野球青春記 バクシャー』を観に行ったついでに、
ホラーが苦手でもこれなら大丈夫そうな気がして。

アメリカのごく平凡な町を舞台にした日常に紛れる狂気を描きつづけ、
モダンホラーの第一人者として世界的な人気を誇る作家スティーヴン・キング
そんな彼の数々の作品をパロディ化したホラーコメディです。

メイン州の小さな田舎町フライバーグを訪れた若者6人。
モンロー、ロニー、ラモント(以上♂)、ローリー、ニコール、ヒラリー(以上♀)の乗った車は、
大音量の音楽を轟かせ、町の静寂を切り裂く。
目的地は湖畔にたたずむモンローの祖父母が所持する別荘。

別荘がある対岸まで、車の運転はラモントひとりに押しつけて、
あとの5人は貸しボートで向かうことに決める。
ラモントは不満顔ながらもお気に入りのヒップホップでノリノリ。

高速ボートを借りて大はしゃぎしていたところ、湖の監視員から厳重注意を受ける。
テンションが下がったまま別荘に到着するが、ラモントはまだ来ていない。
日が暮れてもやって来ないラモントを心配した4人(1人は居残り)が、
何百メートルか離れたガソリンスタンドへ歩いて行ってみると警官が。
ラモントは獣に襲われたとかで体がバラバラ、頭部はなくなっていた。

別荘に戻り、今後どうしたものか考えているうちに、
以前つきあっていたモンローとローリーの間に痴話喧嘩が起こる。
飛び出したローリーの悲鳴が森の中から聞こえ、
モンローらが駆けつけると、頭蓋骨が陥没したローリーの死体。

やがてスティーヴン・キングの熱狂的なファンであるロニーが、
これらの殺人はキング小説を模倣していることに気づく。
別荘の一室に設けられていたキングの本を集めた部屋に入り、
キング小説にはキング小説で対抗しようと策を練るのだが……。

女優陣がカワイイ子揃いなのに対して、男優陣がイマイチだなぁと思っていたら、
モンローとロニー役の2人が脚本を書いてメガホンを取り、役名も本名そのままで主演。
ちょいビミョーな感じで、特にロニーはかなりキモい童貞男
受け入れがたい部分もありますが、総体的には低予算の頑張りが見える、
アホで楽しめる作品に仕上がっていると言えます。

私はもともとホラーが苦手ですから、元ネタを制覇しているわけではありません。
けれども『シャイニング』(1980)を知っているだけでも十分笑えます。
食堂のおばちゃんとおっちゃん、貸しボート屋の兄ちゃん、
ガソリンスタンドの店員、湖の監視員など、みんな怪しい。
町を覆う不気味さは『ニードフル・シングス』(1993)などと同じ雰囲気。
そういえば貸しボートに付けられた名前は『クリスティーン』(1984)でした。

原題は“You Can't Kill Stephen King”で疑問符は無し。
そう、スティーヴン・キングはみんなのもの。殺させはしない。

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