『海難1890』
監督:田中光敏
出演:内野聖陽,ケナン・エジェ,忽那汐里,アリジャン・ユジェソイ,小澤征悦,
徳井優,螢雪次朗,夏川結衣,永島敏行,竹中直人,笹野高史他
公開の2日前に109シネマズ箕面でおこなわれた試写会に当たったのですが、
その日は母と一緒に父の入院する病院へ行く予定。
父の見舞いと試写会を天秤にかけて試写会というのはさすがに親不孝(笑)。
千里中央在住の友人夫妻に招待状をお渡しして、
私は父を見舞わなくてもいい日にTOHOシネマズ伊丹にて。
日本トルコ友好125周年記念に両国合同で製作された作品。
監督は『利休にたずねよ』(2013)や『サクラサク』(2014)の田中光敏。
ふたつの史実を通して両国の絆を見つめ直します。
1890(明治23)年6月、オスマン帝国初の親善訪日使節団がやってくる。
海軍の航海訓練をも兼ねた使節団であり、
彼らを乗せた軍艦“エルトゥールル号”はほぼ1年前にイスタンブールを出港。
横浜に入港するまでの道程は容易なものではなく、
乗員の疲労は蓄積し、資金不足ゆえの物資不足に悩まされていたが、
それでもなんとか横浜に入港、明治天皇に皇帝親書を奉呈する。
3カ月を経てようやく帰国の目処がついた使節団は、帰途に就こうとする。
近づく台風を案じた日本側が出港の時期をずらすように忠告するも、
オスマン帝国海軍の弱さをこんなところで見せるわけにはいかない。
エルトゥールル号は日本側の反対を押し切って横浜を出港。
翌日の晩、予報どおりの台風に見舞われる。
和歌山県樫野崎沖を通過中だったエルトゥールル号は強風に煽られて座礁。
機関部に浸水して大爆発を起こし、沈没する。
爆音を聞いて驚いたのが大島村(現・串本町)の住民(笹野高史ら)。
遭難事故に気づいた彼らは救助活動を開始。
医師の田村元貞(内野聖陽)を中心とした医療関係者が尽力、
またその娘・ハル(忽那汐里)らの献身的な介護により、69名の命が救われる。
傷の癒えた乗員たちが村に溶け込むなか、
大尉ムスタファ(ケナン・エジェ)だけは自分も彼らも許せない。
なぜ生き残ってしまったのか、生き残って明るく振る舞えるのか。
憤りを隠せないムスタファに田村は……。
この1890年のエルトゥールル号海難事故が主に描かれ、
1985(昭和60)年のテヘラン邦人救出劇に繋がるのは残り40分を切ってから。
ドラマティックに作られすぎているのはいかがなものかと思うけれど、
後世まで語り継ぎたい話であることは確か。
もっと淡々と描いてほしかったという人もいましょうが、
それでは万人向けにはなりません。
一日漁に出なければ食べるものに困るような村で、
言葉も通じない国の人々を住民総出で助ける。
ひもじいのはいつも同じ、この人たちに分け与えたところで状況は変わらない。
だったら目の前にいるこの人たちを助けようじゃないか。
生存者を気遣うだけでなく、死者のこともできるだけ丁寧に弔おう、
そして遺族の悲しみを少しでも和らげられるようにしよう。
住民たちのひとつひとつの言動が心に染みます。
こういう美談の作品を観るとき、多分に脚色が入っているだろうから、
丸ごと鵜呑みにはしていないのに泣いている自分がいます。
それでいいんじゃないかなと思っています。
映画で取り上げられることによって、少しでも多くの人が史実を知る機会になれば。
監督:田中光敏
出演:内野聖陽,ケナン・エジェ,忽那汐里,アリジャン・ユジェソイ,小澤征悦,
徳井優,螢雪次朗,夏川結衣,永島敏行,竹中直人,笹野高史他
公開の2日前に109シネマズ箕面でおこなわれた試写会に当たったのですが、
その日は母と一緒に父の入院する病院へ行く予定。
父の見舞いと試写会を天秤にかけて試写会というのはさすがに親不孝(笑)。
千里中央在住の友人夫妻に招待状をお渡しして、
私は父を見舞わなくてもいい日にTOHOシネマズ伊丹にて。
日本トルコ友好125周年記念に両国合同で製作された作品。
監督は『利休にたずねよ』(2013)や『サクラサク』(2014)の田中光敏。
ふたつの史実を通して両国の絆を見つめ直します。
1890(明治23)年6月、オスマン帝国初の親善訪日使節団がやってくる。
海軍の航海訓練をも兼ねた使節団であり、
彼らを乗せた軍艦“エルトゥールル号”はほぼ1年前にイスタンブールを出港。
横浜に入港するまでの道程は容易なものではなく、
乗員の疲労は蓄積し、資金不足ゆえの物資不足に悩まされていたが、
それでもなんとか横浜に入港、明治天皇に皇帝親書を奉呈する。
3カ月を経てようやく帰国の目処がついた使節団は、帰途に就こうとする。
近づく台風を案じた日本側が出港の時期をずらすように忠告するも、
オスマン帝国海軍の弱さをこんなところで見せるわけにはいかない。
エルトゥールル号は日本側の反対を押し切って横浜を出港。
翌日の晩、予報どおりの台風に見舞われる。
和歌山県樫野崎沖を通過中だったエルトゥールル号は強風に煽られて座礁。
機関部に浸水して大爆発を起こし、沈没する。
爆音を聞いて驚いたのが大島村(現・串本町)の住民(笹野高史ら)。
遭難事故に気づいた彼らは救助活動を開始。
医師の田村元貞(内野聖陽)を中心とした医療関係者が尽力、
またその娘・ハル(忽那汐里)らの献身的な介護により、69名の命が救われる。
傷の癒えた乗員たちが村に溶け込むなか、
大尉ムスタファ(ケナン・エジェ)だけは自分も彼らも許せない。
なぜ生き残ってしまったのか、生き残って明るく振る舞えるのか。
憤りを隠せないムスタファに田村は……。
この1890年のエルトゥールル号海難事故が主に描かれ、
1985(昭和60)年のテヘラン邦人救出劇に繋がるのは残り40分を切ってから。
ドラマティックに作られすぎているのはいかがなものかと思うけれど、
後世まで語り継ぎたい話であることは確か。
もっと淡々と描いてほしかったという人もいましょうが、
それでは万人向けにはなりません。
一日漁に出なければ食べるものに困るような村で、
言葉も通じない国の人々を住民総出で助ける。
ひもじいのはいつも同じ、この人たちに分け与えたところで状況は変わらない。
だったら目の前にいるこの人たちを助けようじゃないか。
生存者を気遣うだけでなく、死者のこともできるだけ丁寧に弔おう、
そして遺族の悲しみを少しでも和らげられるようにしよう。
住民たちのひとつひとつの言動が心に染みます。
こういう美談の作品を観るとき、多分に脚色が入っているだろうから、
丸ごと鵜呑みにはしていないのに泣いている自分がいます。
それでいいんじゃないかなと思っています。
映画で取り上げられることによって、少しでも多くの人が史実を知る機会になれば。