夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『犬に名前をつける日』

2015年12月10日 | 映画(あ行)
『犬に名前をつける日』
監督:山田あかね
出演:小林聡美,上川隆也,青山美郷,今村沙緒里,渋谷昶子他

前述の『ローマに消えた男』を観て、2時間近くの空き時間あり。
映画をハシゴするときにこんなに時間が空くのは私にはあり得ないことですが、
学生時代にさんざん通った烏丸に行くのは久しぶり。

大丸まで歩いて買い物をした後は、京都シネマが入るココン烏丸を散策。
1階のアクタスで瓶詰めの食料品をいろいろ買いたくなったけれど、
祇園まで持ち歩くのは重いからと思いとどまり。
3階には京都精華大学のサテライトスペースがあり、
あれこれほしくなるのをこれも思いとどまって、一筆箋のみ購入しました。

シネ・リーブル梅田でも上映中の本作。
大泣きしてしまいそうで観るのを躊躇していましたが、やっぱり鑑賞。

山田あかね監督は、愛犬を病気で亡くしたことをきっかけに、
犬や猫などの動物の保護に奔走する人々を取材。
それをドキュメンタリーとドラマで描くという、一風変わった作風です。

小林聡美演じる久野かなみというテレビディレクターが、愛犬なつを亡くします。
大きすぎる喪失感を抱え、敬愛する渋谷昶子(のぶこ)監督に面会し、
犬のことを取材すべくスコットランドを訪ねようと思っていることを話すと、
渋谷監督は「日本でもできるじゃないの。日本で映画を撮りなさい」と。

それからかなみは、千葉県の動物愛護団体“ちばわん”や、
広島県に拠点を置く“犬猫みなしご救援隊”に関わる人々、
そしてそういった施設に持ち込まれた、あるいは保護された動物たちを撮りはじめます。

ドラマとしての出演者は、小林聡美、上川隆也青山美郷、今村沙緒里。
最初はなぜドラマ仕立てにする必要があるのかと違和感をおぼえましたが、
監督本人が撮ることに徹し、本人役を小林聡美が演じているのであれば、
それもまた面白い試みかもしれないと思いました。

年間16万匹も殺処分にされるということは
『犬と猫と人間と』(2009)で知りましたが、ふたたび愕然。
そして、広島県では今それがゼロに。
“犬猫みなしご救援隊”で殺処分予定の動物をすべて引き取っているからです。
代表の中谷百里さんは、おそらく昔は売れっ子ホステス。
何を思っての転身なのかはわかりませんが、たぶん純粋に動物が好き。
東日本大震災発生の4日後には現地入りして、
原発20km圏内から1,500頭近い動物を引き取ったという事実に、
本当に頭の下がる思いです。

目の前にいる犬1匹を救えるかどうかどころではありません。
「できるかできないかじゃなくて、やるかやらないかなの」。
彼女の言葉が胸に突き刺さりました。

この作品を本当に観るべき人は観ないんだろうなぁ。
ひとりでも多くの人に観てほしい作品です。

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