《た》
『多重人格ストリッパー フランキー&アリス』(原題:Frankie & Alice)
2010年のカナダ作品。
劇場公開時は『フランキー&アリス』だったのに、DVD化されたらこんな邦題に。
そのおかげでこうして「た」の欄に書けるのですけれど。
驚愕の実話を基に、主演のハル・ベリーが自ら製作にも名を連ねています。
1973年のロサンゼルスに暮らす売れっ子ストリッパーのフランキー。
しかし、たびたび不可解な言動に走り、しかもその間の記憶がまったくない。
ある日、彼女は傷害事件を起こして逮捕されるが、やはり身に覚えなし。
精神病院に入るなら刑務所入りは免れると知り、入院を選択。
以前にたまたま彼女を診た研究医のオズは、彼女の症状に興味を持つ。
やがて彼女の中に知能指数が天才並みの少女と、人種差別主義の白人アリスという、
フランキーとは別人格の二人が生まれていることに気づき……。
しぐさ、声色で別人格を見事に演じ分けたハル・ベリー。
慈愛に満ちた医者役ステラン・スカルスガルドも素晴らしい。
いかがわしい邦題だけど、脱ぎも絡みもゼロです。念のため(笑)。
《ち》
『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』(原題:Starlet)
2012年のアメリカ作品。劇場未公開。
文豪アーネスト・ヘミングウェイのひ孫ドリー・ヘミングウェイの主演デビュー作。
邦題のセンスもなければ、副題も気を惹きたいだけの馬鹿さ加減。
原題は主人公が飼っている犬の名前で“スターレット”。
21歳のジェーンは、親友メリッサとその恋人と3人でルームシェア。
女優志願のジェーンとメリッサの目下の仕事はポルノばかり。
ある日、ジェーンは独り暮らしの老婦人セイディー宅のガレージセールで魔法瓶を購入。
花瓶として使おうと水を注ぐと、中から1万ドルの札束が出てくる。
降ってきた札束に心が躍り、ひとりで買い物三昧。
しかし、気が引けてセイディーを訪ねたところ、
品物に難癖を付けられると勘違いした彼女から門前払いを喰らう。
以降、ジェーンは偶然を装ってセイディーに近づき、世話を焼こうとするのだが……。
悪くはないけれど、「言わなくてもわかる」とばかりの中途半端さが鼻につきます。
《つ》
『妻への家路』(原題:歸来)
2014年の中国作品。
文化大革命のなか、知識人のルー・イエンシーは、右派分子として強制労働送りに。
そんな夫が解放される日を待ちつづける妻のフォン・ワンイー。
一人娘のタンタンは中学生で、幼い頃に生き別れた父には思い入れがない。
あるとき、イエンシーが強制労働から脱走したとの情報が。
イエンシーはフォンにこっそり会おうとするが、タンタンの密告により、
イエンシーの出現を待ちかまえていた警官隊に拘束されてしまう。
1977年、文化大革命が集結。名誉を回復したイエンシーが20年ぶりに帰宅。
ところが、フォンはイエンシーのことがわからない。
あの日、目の前でイエンシーを拘束されたフォンは心が壊れ、
夫を愛する気持ちは変わらないのに、夫の顔の記憶をなくしていたのだ。
フォンはイエンシーのことをまるで他人扱い。
イエンシーはフォンの向かいに家を借り、自分を思い出してもらおうと奮闘するが……。
最後まで思い出してもらえることはありません。
毎月、夫を迎えに港へ出向くフォンに付き添うイエンシー。
夫は自分なのに。ここにいるのに。胸がしめつけられるラストシーンでした。
《て》
『天才スピヴェット』(原題:The Young and Prodigious T.S. Spivet)
2013年のフランス/カナダ作品。
大好きなジャン=ピエール・ジュネ監督がライフ・ラーセンの異色冒険小説『T・S・スピヴェット君 傑作集』を映画化。
10歳の少年T・S・スピヴェットは、二卵性双生児の弟レイトンを事故で失う。
やんちゃなカウボーイ気取りだったレイトンは、牧場主である父親の自慢の息子。
対照的に物静かで学問好きのスピヴェットのほうが死ねばよかったと思っているだろう。
昆虫博士の母親とアイドル女優を目指す姉。
家族の誰もが悲嘆に暮れているはずだが、レイトンの話はしない。
ある日、スピヴェットが年齢を明かさずに応募した発明が、
栄えあるベアード賞を受賞したとの知らせがスミソニアン博物館から届く。
スピヴェットは置き手紙を残すとこっそり家を出て、授賞式へと向かうのだが……。
弾ける色彩が美しい。劇場で3D版を観なかったことが悔やまれます。
窓をつたう雨滴を見たスピヴェットの言葉が心に残りました。
「水滴がすばらしいのは、最も抵抗の少ない経路をたどること。
人間はまったくもってその逆だ」。
《と》
『トレヴィの泉で二度目の恋を』(原題:Elsa & Fred)
2014年のアメリカ作品。
監督は『イル・ポスティーノ』(1994)のマイケル・ラドフォード監督。
長年連れ添った妻に先立たれて半年ばかりが経った80歳の偏屈老人フレッド。
娘夫婦の提案で住み慣れた一軒家を手放し、小さなアパートへ引っ越す。
隣家に住むのはおしゃべりで陽気な老婦人エルサ。
何かと声をかけてくるエルサに最初は迷惑顔だったフレッドだが、
エルサの可笑しな作り話に和まされ、これからの人生を楽しもうと思い始めるのだが……。
オバハンとオッサンの妄想に陥りがちなところ、
シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーという大ベテランコンビが可愛らしくて。
それでもシャーリー・マクレーンにはドン引きすること何度か。
しかし、熟年カップルがあちこちの作品で無銭飲食をやらかしたがるのは何故?
『多重人格ストリッパー フランキー&アリス』(原題:Frankie & Alice)
2010年のカナダ作品。
劇場公開時は『フランキー&アリス』だったのに、DVD化されたらこんな邦題に。
そのおかげでこうして「た」の欄に書けるのですけれど。
驚愕の実話を基に、主演のハル・ベリーが自ら製作にも名を連ねています。
1973年のロサンゼルスに暮らす売れっ子ストリッパーのフランキー。
しかし、たびたび不可解な言動に走り、しかもその間の記憶がまったくない。
ある日、彼女は傷害事件を起こして逮捕されるが、やはり身に覚えなし。
精神病院に入るなら刑務所入りは免れると知り、入院を選択。
以前にたまたま彼女を診た研究医のオズは、彼女の症状に興味を持つ。
やがて彼女の中に知能指数が天才並みの少女と、人種差別主義の白人アリスという、
フランキーとは別人格の二人が生まれていることに気づき……。
しぐさ、声色で別人格を見事に演じ分けたハル・ベリー。
慈愛に満ちた医者役ステラン・スカルスガルドも素晴らしい。
いかがわしい邦題だけど、脱ぎも絡みもゼロです。念のため(笑)。
《ち》
『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』(原題:Starlet)
2012年のアメリカ作品。劇場未公開。
文豪アーネスト・ヘミングウェイのひ孫ドリー・ヘミングウェイの主演デビュー作。
邦題のセンスもなければ、副題も気を惹きたいだけの馬鹿さ加減。
原題は主人公が飼っている犬の名前で“スターレット”。
21歳のジェーンは、親友メリッサとその恋人と3人でルームシェア。
女優志願のジェーンとメリッサの目下の仕事はポルノばかり。
ある日、ジェーンは独り暮らしの老婦人セイディー宅のガレージセールで魔法瓶を購入。
花瓶として使おうと水を注ぐと、中から1万ドルの札束が出てくる。
降ってきた札束に心が躍り、ひとりで買い物三昧。
しかし、気が引けてセイディーを訪ねたところ、
品物に難癖を付けられると勘違いした彼女から門前払いを喰らう。
以降、ジェーンは偶然を装ってセイディーに近づき、世話を焼こうとするのだが……。
悪くはないけれど、「言わなくてもわかる」とばかりの中途半端さが鼻につきます。
《つ》
『妻への家路』(原題:歸来)
2014年の中国作品。
文化大革命のなか、知識人のルー・イエンシーは、右派分子として強制労働送りに。
そんな夫が解放される日を待ちつづける妻のフォン・ワンイー。
一人娘のタンタンは中学生で、幼い頃に生き別れた父には思い入れがない。
あるとき、イエンシーが強制労働から脱走したとの情報が。
イエンシーはフォンにこっそり会おうとするが、タンタンの密告により、
イエンシーの出現を待ちかまえていた警官隊に拘束されてしまう。
1977年、文化大革命が集結。名誉を回復したイエンシーが20年ぶりに帰宅。
ところが、フォンはイエンシーのことがわからない。
あの日、目の前でイエンシーを拘束されたフォンは心が壊れ、
夫を愛する気持ちは変わらないのに、夫の顔の記憶をなくしていたのだ。
フォンはイエンシーのことをまるで他人扱い。
イエンシーはフォンの向かいに家を借り、自分を思い出してもらおうと奮闘するが……。
最後まで思い出してもらえることはありません。
毎月、夫を迎えに港へ出向くフォンに付き添うイエンシー。
夫は自分なのに。ここにいるのに。胸がしめつけられるラストシーンでした。
《て》
『天才スピヴェット』(原題:The Young and Prodigious T.S. Spivet)
2013年のフランス/カナダ作品。
大好きなジャン=ピエール・ジュネ監督がライフ・ラーセンの異色冒険小説『T・S・スピヴェット君 傑作集』を映画化。
10歳の少年T・S・スピヴェットは、二卵性双生児の弟レイトンを事故で失う。
やんちゃなカウボーイ気取りだったレイトンは、牧場主である父親の自慢の息子。
対照的に物静かで学問好きのスピヴェットのほうが死ねばよかったと思っているだろう。
昆虫博士の母親とアイドル女優を目指す姉。
家族の誰もが悲嘆に暮れているはずだが、レイトンの話はしない。
ある日、スピヴェットが年齢を明かさずに応募した発明が、
栄えあるベアード賞を受賞したとの知らせがスミソニアン博物館から届く。
スピヴェットは置き手紙を残すとこっそり家を出て、授賞式へと向かうのだが……。
弾ける色彩が美しい。劇場で3D版を観なかったことが悔やまれます。
窓をつたう雨滴を見たスピヴェットの言葉が心に残りました。
「水滴がすばらしいのは、最も抵抗の少ない経路をたどること。
人間はまったくもってその逆だ」。
《と》
『トレヴィの泉で二度目の恋を』(原題:Elsa & Fred)
2014年のアメリカ作品。
監督は『イル・ポスティーノ』(1994)のマイケル・ラドフォード監督。
長年連れ添った妻に先立たれて半年ばかりが経った80歳の偏屈老人フレッド。
娘夫婦の提案で住み慣れた一軒家を手放し、小さなアパートへ引っ越す。
隣家に住むのはおしゃべりで陽気な老婦人エルサ。
何かと声をかけてくるエルサに最初は迷惑顔だったフレッドだが、
エルサの可笑しな作り話に和まされ、これからの人生を楽しもうと思い始めるのだが……。
オバハンとオッサンの妄想に陥りがちなところ、
シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーという大ベテランコンビが可愛らしくて。
それでもシャーリー・マクレーンにはドン引きすること何度か。
しかし、熟年カップルがあちこちの作品で無銭飲食をやらかしたがるのは何故?