『テノール!人生はハーモニー』(原題:Tenor)
監督:クロード・ジディ・ジュニオール
出演:ミシェル・ラロック,MB14,ロベルト・アラーニャ,ギヨーム・デュエム,ステファーヌ・ドゥバク,
マエヴァ・エル・アルーシ,サミール・デカッツァ,マリー・オペール,ルイ・ドゥ・ラヴィニエール他
昨日の晩ごはんは六甲で。せっかくなのでその前にシネ・リーブル神戸で映画を3本。
そうでもしないと、神戸まで映画を観に行く機会というのか気力は今はないから。
前回この劇場へ出向いたのは去年の11月だったようです。
そうだ、そのときも後に神戸で食事する予定があったんだわ。
これは絶対観たかった作品です。
梅田かなんばか迷っているうちに終映になりそうで、今回神戸で観られて本当によかった。
学のないディディエは、自分とは違って賢いアントワーヌをなんとか学ばせたい。
会計士の資格を取るべく学校に通うかたわら、アントワーヌはデリバリーの寿司屋でバイト。
ある日、オペラ座からの注文を受けて配達に行ったところ、レッスン生の歌声が。
しばらくそれに聴き惚れていると、居合わせた別のレッスン生から酷い侮辱の言葉を投げつけられる。
あまりにムカついたアントワーヌは、ラップで対抗した後にオペラの真似事をして立ち去る。
アントワーヌの歌声を聴いてただならぬ才能を感じた教師マリーはすぐさま追いかけるが、
腹を立てているアントワーヌは話を聞こうともしない。
するとマリーは彼のバイト先の寿司屋を訪ねて店長に掛け合い、
自宅までアントワーヌに寿司を配達させる手段に出る。
マリーから押しつけられた『蝶々夫人』のCDを聴いたアントワーヌは、
自分もオペラを歌ってみたいと思い、レッスンを受けるようになるのだが……。
この手の音楽の映画はたいていが予想できる展開ではありますよねぇ。
音楽を続けるには金がかかる。貧困層の若者には無理。
そんなふうに本人も周囲も考えているからそうそう手は出さない。
だけど、類稀なる才能を見出した教師はあきらめない。
『パリに見出されたピアニスト』(2018)もまんまそんな話でしたが、どれも私は惹かれます。
厳しいレッスンが嫌になり、自分の思うままに進められないことに挫折して逃げ出しかける。
でもやっぱり音楽が好きだから、押しつけられたわけではないと悟り、
もう一度音楽と向き合いたい自分に気づく。
アントワーヌ役のMB14はオーディション番組で注目されたビートボクサーなのだそうで。
彼とマリーがヴィクトル・ユーゴーの詩でラップバトルするシーンなども楽しい。
オペラ歌手のロベルト・アラーニャが本人役で出演しているのも見もの。
月並みなストーリーであったとしても、このラストは最高。
やっぱり外せない、音楽の映画。