『高野豆腐店の春』
監督:三原光尋
出演:藤竜也,麻生久美子,中村久美,徳井優,山田雅人,日向丈,竹内都子,
菅原大吉,桂やまと,黒河内りく,小林且弥,赤間麻里子,宮坂ひろし他
イオンシネマ茨木にて、前述の『ブギーマン』の次に。
「こうやどうふてんのはる」だと思い込んでいました。
それにしても「春」って、夏に春の話ですか、と思ったら、
「春」は麻生久美子演じる娘の名前でした。嗚呼、何もかも勘違い(笑)。
広島県尾道市で豆腐店を営む高野辰雄(藤竜也)。
妻には早くに先立たれ、出戻りの一人娘・春(麻生久美子)が店を手伝ってくれている。
心臓に持病を持つ辰雄は、早めに手術を受けるほうがいいと主治医から言われた途端、
春のことが心配になり、腐れ縁の仲間たちに相談。
町で評判のべっぴんさんの春とならいくらでも一緒になりたい人がいるだろうと、
彼らは選りすぐりのお見合い相手を辰雄に紹介する。
春に直接話を持って行ったところで嫌がるのは目に見えているし、
まずは辰雄が相手と会って○×を見極めたい。
ふたりが偶然会ったように装う場を設けようとする辰雄と仲間たち。
そんな折、辰雄は病院で同じく心臓疾患を抱える女性患者・中野ふみえ(中村久美)と知り合う。
彼女と交わす会話が楽しくて、年甲斐もなくウキウキする辰雄。
春と村上の仲がどうなっているのか春本人に聞けずにいたところ、
春から紹介したい人がいると言われて辰雄はドギマギ。
てっきり村上だと思っていたのに、春が挙げた名前は全然ちがう人。
駅前のスーパーで豆腐売り場を担当する西田道夫(桂やまと)。
正真正銘イケメンの村上に比べ、西田はチンチクリンとしか言いようがなく……。
若手俳優はほとんど出演していないので、若かりし頃の藤竜也を知っている層、
わりと高年層の方々にお薦めしたい作品です。
豆腐店が出てくる作品はこれまでにも観たことがある気がしますが、
こんなふうに豆腐について蘊蓄が語られる作品は初めてかもしれません。
父親の作る豆腐が世界で一番と信じる娘が語る語る(笑)。
春だけど夏の話だと思ったら、被爆者の話でもありました。
戦争が終わってから何十年経とうが、被爆した事実は消えないし、
代々子孫にもいつかそれが体に出るのではと心配がつきまとう。
つらいことだったけど不幸せでおったらあかん。そうですね。
辰雄とふみえの会話から、辰雄の家族について明かされる事実。
それを踏まえて、終盤の辰雄と春のやりとりには涙せずにはいられません。
娘のいるお父ちゃんたち、観に行ってください。みんな泣いちゃうよ。
良い作品でした。