『DOGMAN ドッグマン』(原題:Dogman)
監督:リュック・ベッソン
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ,ジョージョー・T・ギッブス,クリストファー・デナム,
クレーメンス・シック,マリサ・ベレンソン,ジョン・チャールズ・アギュラー,グレース・パルマ他
イオンシネマ茨木にて、2本ハシゴの2本目。前述の『映画 マイホームヒーロー』の後に。
『ドッグマン』(2018)というイタリア/フランス作品を観たのが4年半ほど前だから、
5年の間にすでに世にある名前の映画の別作品を撮るのね、リュック・ベッソン監督、と思いました。
あっちはイタリア出身のマッテオ・ガローネ監督作品。
本作とは全然違うけれど、主人公が犬をこよなく愛している点は同じです。
批評家の意見としては賛否両論あるようですが、私は好きでした。
最近のベッソン監督の作品の中ではいちばん。
ある晩、検問で停められたトラックを運転していたのは女装した男性。
荷台を開けてみると、そこには数え切れないほどの犬が積まれていた。
逮捕した人物を「彼」か「彼女」か決めかねて、エヴリンに指示を仰ぎたいらしい。
エヴリンが面会に行くと、異様な相貌の相手はダグラスだと名乗り、
淡々と自分の生い立ちについて話しはじめるのだが……。
フランス語作品なのかと思っていましたが、舞台はアメリカ・ニュージャージー州で全編英語。
何が凄いって、ダグラス役のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの演技。
だけどそれより驚いたのは、ダグラスが少年時代に受けた仕打ちの告白内容です。
闘犬を育てていた父親の暴力は日常茶飯事。それに追随する兄。
優しい母親は父親に抵抗できず、ダグラスが虐待を受けても見過ごすしかありません。
ある日、父親はダグラスの態度に腹を立て、犬の檻にダグラスをぶち込むのです。
犬たちはダグラスのことが大好きだから、噛みついたりなんかしない。
犬のことは怖くないけれど、父親はダグラスを犬と一緒に檻に入れたまま。
この状況を映像で観るのは本当におぞましい。よくぞ生きていてくれたものだと思う。
隣の納屋の隙間に手を入れれば届く雑誌を読むことでダグラスは勉強します。
読んで読んで、どんどん賢くなる。だけど檻からは出られない。
ダグラスがどうやって檻から出たのか。車椅子に乗っているのはなぜなのか。
百匹近くいるかと思われる犬を飼いつつ、どのように生活を成り立たせてきたのか。
エヴリンと共に聴き入ってしまいました。
「規格外のダークヒーロー」、本当にそうだと思います。
彼が幸せに満ちた顔をしていたのが救い。切ない。