夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ダイ・ハード/ラスト・デイ』

2013年02月20日 | 映画(た行)
『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(原題:A Good Day to Die Hard)
監督:ジョン・ムーア
出演:ブルース・ウィリス,ジェイ・コートニー,セバスチャン・コッホ,
   ラシャ・ブコヴィッチ,コール・ハウザー,ユーリヤ・スニギル他

TOHOシネマズデーになんばでハシゴ、2本目はこれ。
前述の『ストロベリーナイト』の10分後に開始。
この日が封切りだったのに、「ムビチケ絶賛発売中」とまだ宣伝中。
もう販売していないはずなんですけど、 なんてテキトー。

さて、これはもう説明不要なのでしょうけれど、
私自身は“ダイ・ハード”シリーズをくりかえし観たわけでもなく、
前作までのストーリーもほとんど覚えていません。
本作で息子がいきなり登場したふうですが、もともと息子がいる設定でした?
う~ん、まったく記憶になし。

ニューヨーク市警のベテラン刑事、ジョン・マクレーンは、
長らく疎遠で消息不明の息子ジャックの調査を同僚に依頼。
資料を届けてくれた同僚は浮かない顔。
事態は死ぬよりももっと悪いことになっているらしい。

ジャックはロシアで警察沙汰を起こし、身柄を拘束されているという。
しかもそれは国中が注目するほどの大事件で、
もしも有罪になれば、お国柄、酷く厳しい刑罰が待っているとのこと。
ジャックに面会しようと、ジョンは休暇を取ってモスクワへと向かう。

ところが、ジャックが出廷中の裁判所が突然爆破される。
たまたま裁判所のすぐ外にいたジョンは、ジャックと鉢合わせ。
ジャックは同じく出廷していた元大物政治家のユーリ・コマロフを伴い、
裁判所から逃走するところだった。

ジャックを説き伏せようとしていると、あちこちから銃弾が飛んでくる。
わけがわからないまま、逃走劇につきあうはめに陥るジョン。
やがて、どら息子だと思っていたジャックが、
実はCIAのスパイでコマロフを救出しようとしていることを知り……。

この日の観客はほとんどがおっちゃん。
みんな、クリント・イーストウッドが奮闘する姿はもう見たくないけれど、
トム・クルーズやブルース・ウィリスが頑張っている姿には勇気づけられるのかしらんと思ったりして。
しかもおっちゃんたちは揃いも揃って反応がイイ。
私の隣席のおっちゃんなんて、銃だらけのトランクを見れば「ほぉ~っ」。
ガラスをぶち破って飛ぶシーンでは「お~っ」。
いちいち言わんでもええがなとは思ったものの、可笑しかったです。

ジャック役には『アウトロー』の実行犯を演じたジェイ・コートニー。
この間はロシア人の手下でしたから、どうやらロシアに縁があるようで。
ジョンとの掛け合いはなかなかテンポよく、ハゲネタも笑えます。

鑑賞前日、これを観に行くと職場で話したら、
「今度の『ダイ・ハード』もブルース・ウィリスが主演なんですか」と聞かれました。
ブルース・ウィリス主演じゃなかったら、
この映画のタイトルは『ダイ・ハード』じゃなくてもええし。(^o^;

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『ストロベリーナイト』

2013年02月18日 | 映画(さ行)
『ストロベリーナイト』
監督:佐藤祐市
出演:竹内結子,西島秀俊,大沢たかお,小出恵介,宇梶剛士,丸山隆平,
   渡辺いっけい,遠藤憲一,高嶋政宏,染谷将太,金子賢,三浦友和他

先月はじめて知ったTOHOシネマズデーの存在。
今月はその日に休みを取って、なんばで3本ハシゴ。

原作も未読ならTVドラマ版も未見ですが、ハシゴするにはこれしか時間が合わず。
公開前、FM802でシャーリー富岡さんが「私たちの西島秀俊くん」とのたまうのを聞いて笑いましたが、
はい、私たちの西島くんを見がてらということで。

警視庁捜査一課の警部補、姫川玲子(竹内結子)が率いる姫川班の管轄で、
暴力団・龍崎組のチンピラ、小林充が刺殺される。
遺体の状況に別の暴力団員殺しと共通点が認められたため、
連続殺人事件として捜査を開始することに。

ところが、捜査一課と組対四課で大がかりな合同捜査会議を開いたところ、
単純な暴力団内部抗争と見る組対四課と、それに疑問を抱く姫川らが対立。
両者とも譲る気はないだろうと和田捜査一課長(三浦友和)は融通を利かせ、
情報の共有だけは徹底するという条件で別々の捜査を許可する。

その日の帰りぎわ、たまたま姫川が受けたのがたれ込み電話。
「小林充を殺したのは柳井健斗」と聞き、姫川は柳井について調べようとするが、
上司たちから「柳井を追うな」とストップがかかる。

柳井は9年前に殺害された柳井千恵の弟で、
当時、警視庁は千恵に性的虐待を働いていた実父を娘殺しの犯人として逮捕。
否認をつづける実父は、警察署内で署員から拳銃を奪って自殺。
その後、千恵の交際相手だった小林が真犯人ではないかとの説が持ち上がるが、
実父を誤認逮捕したうえに自殺されたとあっては警視庁の面目丸つぶれ。
ゆえに実父に罪を着せたまま、容疑者自殺として終わらせたらしい。
今回、柳井が復讐のために小林を殺したと考えることができるが、
9年前の事件を世間に蒸し返されたくないお偉方は姫川を止めにかかったのだ。

そんな話に従うことはできないと、姫川は独自に調査に取りかかる。
菊田(西島秀俊)ら姫川班の部下を巻き込むことがないよう、単身で動きはじめるのだが……。

TVドラマ版を観ていなくても話についていけないことはありません。
劇場版としてはまぁまぁよくできているのではないでしょうか。

だけど、突っ込みたくなるところは多数。
姫川が柳井の家を突き止めて訪ねたら、暴力団幹部の牧田(大沢たかお)と鉢合わせ。
ヤクザだとは明かさない彼に、ぺっぺら喋るの、ありなんすか。
それから、かねてからの素朴な疑問。
美人刑事が長髪を束ねもせずに現場に入るシーンには
TVドラマや映画などでいつも違和感をおぼえるのですが、それってOK?

なんとなく想像がついてしまう犯人は、
『さよならドビュッシー』よりは説得力があるものの、驚きはなし。
これも犯人が誰だとかトリックがどうだとかいうよりは、
さまざまな人間関係やその心情を楽しむ作品なのでしょうね。

最近ちょっとキショかったりする(失礼)生瀬勝久が笑わせてくれますし、
男気を見せる上司の三浦友和遠藤憲一がカッコよくてシビレます。

で、「私たちの西島くん」は、切ないねぇ。(T_T)
ま、人生、いろいろっちゅうことや。(by 生瀬勝久)

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『人生、ブラボー!』

2013年02月16日 | 映画(さ行)
『人生、ブラボー!』(原題:Starbuck)
監督:ケン・スコット
出演:パトリック・ユアール,アントワーヌ・ベルトラン,ジュリー・ルブレトン他

大阪ステーションシティシネマからシネ・リーブル梅田へてくてく。

予告編を観てフランスの作品だと思っていたら、
カナダ、ケベック州の作品でした。
前述の『さよならドビュッシー』が今年のワーストくさかったため、
テンション低めで観に行きましたが、これは◎。

42歳の独身男ダヴィッドは、だらしないことこのうえない。
父親の精肉店で配達係を務めるも、遅刻の常習犯。
同じく店に勤務する二人の兄は立派な仕事ぶりだというのに。

職場でもそうならば、私生活もボロボロ。
借金は膨れあがって8万ドルに。取り立てに追われているが金はない。
金稼ぎに大麻を育てようとするが失敗。
恋人のヴァレリーからは妊娠を打ち明けられて呆然。
その顔を見てヴァレリーに愛想を尽かされてしまう。

そんな折り、帰宅すると弁護士を名乗る男が。
若かりし頃、マスをかいて金がもらえるならばと精子提供した数、655回。
とても優秀な種馬だったらしく、533人もの子どもがこの世に誕生。
そのうちの142人が父親は誰かを知る権利があるとして、
身元の開示を求める集団訴訟を起こしたと言うのだ。

身元を明かすなんて恥さらしもいいところ、滅相もない。
親友の弁護士に泣きついたところ、おもしろがって話に乗ってくれることに。

親友から渡された142人の原告団のプロフィールが記載されたリスト。
見ないつもりが好奇心に負けて1枚だけチラ見。
それがダヴィッドが応援するサッカーチームの花形選手だったものだから、
狂喜したダヴィッドは親友を連れてスタジアムへ。

以後、1枚ずつめくってみるが、誰も彼も気になって仕方がない。
路上ミュージシャンならばそれを聴きに、
コーヒーショップの店員ならばコーヒーを飲みに、
観光地のガイド役ならば客に、プールの監視員ならば泳ぎにと、
もちろん父親であるとは言わずに次々と会いに行ってしまい……。

みんなが恵まれた暮らしを送っているわけではありません。
脳性麻痺で車椅子生活をしていたり、ヤク中だったり。
ゲイもいれば、ヴィジュアル系のいじめられっ子もいます。
でも、誰も彼もが愛おしい。そんなダヴィッドに声援を送りたくなります。

マスコミに取り上げられると当然ながら変態扱いされますが、
名乗り出ることを躊躇するダヴィッドに対して、子どもたちはこう言います。
「僕らは変態だなんて思っちゃいない。
 幸せと生を与えてくれた父親に感謝したいだけなんだ」。

不出来の息子に呆れていると思いきや、ダヴィッドの父親がまた泣かせます。
「おまえはどんな事態も丸く収める力を持っている奴なんだぞ」と。
この父親とダヴィッドのやりとりにはボロ泣き。

ただの変態でこれだけの精子提供を完遂したわけではありません。
彼がこのお金を何に使ったか、それはぜひご覧を。

なお、原題は精子提供のさいに彼が使ったとされる偽名“Starbuck”。
世界中に20万頭以上の子どもがいる、カナダの超優良種牛の名前に由来するのだそうです。

自分の人生、決断するのはほかの誰でもない、俺自身。

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『さよならドビュッシー』

2013年02月14日 | 映画(さ行)
『さよならドビュッシー』
監督:利重剛
出演:橋本愛,清塚信也,ミッキー・カーチス,柳憂怜,相築あきこ,山本剛史,
   熊谷真実,サエキけんぞう,相楽樹,戸田恵子,三ツ矢雄二,吉沢悠他

前述の『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』とハシゴ。
こちらも女性客でいっぱいです。

第8回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作である原作は未読。
某映画レビューサイトの評価が非常に高く、
原作も映画もきっとおもしろいにちがいないとものすごく期待していたのですが、
う~ん、今年のワーストになりそうな感じ。まだ2月だというのに。(^^;

遥はピアニストになることを夢見る少女。
祖父の香月玄太郎はワインの輸入会社を経営し、潤沢すぎる利益を上げている。
そのおかげで遥一家も玄太郎と同じ敷地の豪邸住まい。

遙には姉妹同様に育ったいとこ、ルシアがいる。
治安の悪い国へ仕事で出向いたルシアの両親は、
ルシアを玄太郎らに預けたまま消息を絶つ。
悲しみに暮れるルシアを遙は生涯守ると誓い、
遙の両親もふたりを分け隔てることなく育てる。

遙とルシアは同じ音楽学校へ通うようになったある夜、離れが火事に。
そこにいたのは遙とルシア、そして玄太郎。
遙だけが奇跡的に一命を取り留めるが、全身に火傷を負って大手術。
一流の形成外科医により、皮膚を繋ぎ合わせて見事もとどおりの容姿に。

地獄のようなリハビリ後、やはりピアニストになりたいと考える遙。
しかし、どこもかしこも思うようには動かないのに、
ピアノを再び弾くことなど永遠に無理なのではないか。

かつてのピアノ教師にレッスンを頼もうと訪問するが、すげない態度。
ところがちょうどそのとき調律に来ていたのが若手ピアニストの岬洋介。
洋介は自分でよければ力になると申し出て……。

おもしろくないことはありませんでした。
けれども、冒頭で「まさかこういうオチとちゃうやろな」と思ったとおりに。
台詞も陳腐で、終盤の「先生にひとつだけお願いがあるの」の次の台詞はなんぞや、
もしやこう言うのではと思ったらそのとおりに。
種明かしのあとは興醒めしてしまって観ていられないほどでした。
観賞後に原作のレビューをあれこれ眺めてみたら、
トリックに期待したらあかん作品だったのですねぇ。ガクッ。

ただ、洋介を演じる本物の人気ピアニスト、清塚信也の演奏は素晴らしい。
それと、学校から全国コンクールに出場させられそうになり、
「見世物になんかなりたくない」と泣く遙に対する洋介の台詞はイイ。
「ピアニストってそもそも見世物なんじゃないのかな。
 人を感動させられるなら、見世物だっていいと思うな」。

特に“熊蜂の飛行”のアレンジは優れもの。
これだけでも聴く価値ありかと。

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『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

2013年02月12日 | 映画(ま行)
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(原題:The Best Exotic Marigold Hotel)
監督:ジョン・マッデン
出演:ジュディ・デンチ,ビル・ナイ,ペネロープ・ウィルトン,デヴ・パテル,セリア・イムリー,
   ロナルド・ピックアップ,トム・ウィルキンソン,マギー・スミス他

今年は有休はすべて映画の安い日に取るのじゃ!と決め、
水曜日に大阪ステーションシティシネマへ。

レディースデーの日中に劇場へ足を運ぶことはほとんどなかったので、
こんなに女性だらけだとは思ってもみませんでした。
しかも作品によっては熟年層が大半を占め、本作はまさにそう。

予告編開始からほどなくして、足下のおぼつかないおばあちゃんの二人連れが。
通路の階段を半分以上のぼり、ちょうど私のすぐ後ろの列までやってきてから、
「あら~、だいぶん向こう側の席やったね。あっち側から上がり直そか」。
すると、その列の中央付近にお座りだったおばちゃん(もちろん他人)が叫びます。
「また階段を下りるのは大変ですやん。よけますから、ここ通りはったらええねん」。
「すんまへんな、すんまへんな」と言いつつ、真反対の席まで歩くお二人。
そのなりゆきや会話が大阪っぽくて可笑しく、和んでしまいました。

9割9分が女性というこの日、
本編開始までは結構しゃべりまくりでやかましいのですが、以降は黙ってお行儀良し。
と思えば隣で寝息を立てているおばちゃんも居たりするのですけれど。(^^;

『恋におちたシェイクスピア』(1998)のジョン・マッデン監督による、
イギリス/アメリカ/アラブの合作です。
イギリスを代表するジジババのみなさん(失礼)の共演で、
そこに『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)の青年が加わって、
インドの風が清々しい、万人におすすめの作品に仕上がっています。

神秘の国インド、ジャイプールのリゾートホテルの広告。
高齢者向けの長期滞在プランが目玉のそれに惹かれた7人のイギリス人熟年男女。

亡夫の負債を返済するために家を売却したばかりの未亡人イヴリン。
退職後に自国で家を買うはずが予算の都合で断念した夫婦ダグラスとジーン。
女を捨てずに一生色恋に生きつづけたいマッジ。
とにかく女好きでもう一花咲かせたいノーマン。
判事の仕事に嫌気が差して突然辞職したグレアム。
やむを得ず足の手術をインドで受けることにしたミュリエル。

空港で一緒になった7人はインド入りするが、搭乗予定だった国内便が欠航。
過去にインドへ行ったことがあるというグレアムの提案により、
一行はバスとトゥクトゥクを利用してジャイプールへと向かう。

インドのバスに満員という言葉なし。
この時点ですでにわやくちゃな珍道中に、ドン引きの者も。
目的地のマリーゴールド・ホテルに着いて今度は絶句。
リゾートホテルとは詐称もいいところ、ボロボロの古びたホテル。
めげない若き支配人ソニーは彼らを迎えて大喜びだったが……。

異国での七者七様のふるまいが非常におもしろいです。
どんなところであろうとすぐに気を取り直して馴染もうとする人、
楽しみ方を探し、仕事を見つけようとする人もいれば、
決してホテルから出ようとしない人もいます。

マギー・スミス演じるミュリエルは有色人種に酷い偏見があり、
最初は見ていて腹立たしくなるほどですが、
彼女がスラム街のメイド宅に招待されるシーンでのやりとりには胸が熱くなりました。
ホテル再生へのキーともなる彼女は、最後は実に頼もしい。
『ラブ・アクチュアリー』(2003)で私の泣きのツボだったビル・ナイも、ダグラス役でいい感じ。

くすっと笑える箇所も多数、涙がこぼれる場面も多数。
最終的には全員が馴染むと行きたいところですがそうも行かず。
年も考えずにみっともないとみんなをののしる人が
本当はいちばん老いを受け入れていないようにも思えます。

インドのどこがいいのかと尋ねられたグレアムは、こんなふうに。
「生を権利ではなく恩恵と考えているところ」。

最後は万事めでたし、なのでした。

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