夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『50回目のファーストキス』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の20本目@伊丹)

2018年06月20日 | 映画(か行)
『50回目のファーストキス』
監督:福田雄一
出演:山田孝之,長澤まさみ,ムロツヨシ,勝矢,
   太賀,山崎紘菜,大和田伸也,佐藤二朗他

日曜日の夕方の回。周囲はカップル、もしくは男子4人連れとか。
いったい誰が目的で観に来ているのか不思議です。

そんなこの日のお客さんたち、どれだけの人が本作のオリジナルをご存じなのか。
もしかしたら8割の入りの客のうち、
オリジナルを観たことがあるのは私だけかもしれないと思ったりして。
リメイクであることすら知らない人が多いのではないでしょうか。

アダム・サンドラードリュー・バリモア共演の『50回目のファーストキス』(2004)を福田雄一監督がリメイク。
ついでに『50回目のファースト・キス イン・トルコ』(2017)という
未公開のトルコ作品があるようなのですが、これって何!?

ハワイオアフ島。世界一、星が綺麗といわれる場所。
天文学を研究するためにこの地に来た大輔(山田孝之)は、
ツアーガイドのバイトで滞在費を稼ぎながら論文を書いている。
ツアー客の間でモテモテのの大輔だが、どんな相手ともつきあうのはツアー中だけ。
後腐れなく理由をつけて別れるのが得意。

そんな彼がある日たまたま立ち寄ったカフェで恋に落ちる。
一目惚れした相手は毎朝そのカフェで朝食をとる瑠衣(長澤まさみ)。
声をかけることに成功し、翌日も会うことを約束。

ウキウキしながら翌朝を迎えた大輔だったが、
カフェで再会した瑠衣は大輔のことなどまるで知らない態度。
それどころか痴漢でも見るかのような眼を向けてくる。

唖然とする大輔に、カフェのおばちゃんが告げる衝撃の事実。
瑠衣は交通事故の後遺症で短期記憶障害を患っており、
事故前日までの記憶はしっかりとあるが、事故後の記憶は1日しかもたないというのだ。
今日の出来事を明日の朝になれば忘れてしまう瑠衣にとっては、
毎日が事故に遭った日の朝。毎日毎日その繰り返し。

事故と記憶障害の事実を瑠衣に知らせられずにいる彼女の父親(佐藤二朗)と弟(太賀)。
いや、事実を知らせても、瑠衣は翌朝になれば忘れてしまうのだから意味がない。
納得できない大輔は、あの手この手で瑠衣に愛の告白を続けるのだが……。

オリジナルを踏襲して概ね上手くリメイクできていると思います。
ただコメディのセンスの差が役者によって大きいような。
福田監督作品の常連、佐藤二朗とムロツヨシ(大輔の友人役)はいつもと同じ。
ツアー会社の社長役、勝矢もまぁこんなもの。センスを見せる場面もないし。
可哀想だけどセンスないのは同僚役の山崎紘菜
彼女は可愛いですけれど、なんだかぎこちなくて笑えない。
意外に笑えたのが太賀。こんな彼は見たことがなかったから新鮮です。

客のウケは良いようで、隣の若いカップルは二人とも号泣していました。
おかげで私は泣けなかったけれど(笑)、デートムービーにはうってつけ。

何はともあれ、「好きなタイプは長澤まさみ」と公言していた山田くん、
共演して50回も(かどうか知らんが)キスできて、めでたしめでたし。

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『終わった人』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の19本目@伊丹)

2018年06月19日 | 映画(あ行)
『終わった人』
監督:中田秀夫
出演:舘ひろし,黒木瞳,広末涼子,臼田あさ美,今井翼,野澤しおり,ベンガル,
   清水ミチコ,温水洋一,高畑淳子,岩崎加根子,渡辺哲,田口トモロヲ,笹野高史他

前述の『羊と鋼の森』の次に。
小学生男子2人を含む家族で観に来ている人がいて、なぜにそのようなチョイス?
定年って、生前葬だな」の台詞で始まるような作品を小学生が観てオモロイか?

東大卒、大手銀行に入社、将来は役員クラス間違いなしだったはずの田代壮介(舘ひろし)。
しかしライバルに敗れて出世コースから外れ、子会社に出向してそのまま定年に。
部下たちは「いつでも遊びに来てください」などと言うけれど、
本当に遊びに来たらきっと嫌がられるに決まっている。心にもないことを。ふん。

帰宅すると、妻の千草(黒木瞳)がお疲れさまでしたと労ってくれる。
娘の道子(臼田あさ美)と千草のいとこの俊彦(田口トモロヲ)も駆けつけて、皆で退職祝い。

美容師として働く千草は毎日忙しく、道子も自分の子どもの相手に忙しい。
人気イラストレーターの俊彦もかまってくれそうになく、
今まで仕事一筋だった壮介には趣味らしいものもないから、ヒマすぎる。
公園に行っても図書館に行っても、同類のジジババだけ。

ふと大学院へ行くことを思いついた壮介は、俊彦の勧めでカルチャースクールを覗く。
するとスクールの受付嬢・久里(広末涼子)が同郷の岩手出身であることが判明。
道子からは「ヒマなら恋でもしてみれば」と言われていた壮介は、
久里を待ち伏せして食事に誘ったり美術館へ行ったりするように。
向こうもまんざらではなさそうなのを見て、すっかり舞い上がってしまうのだが……。

『恋は雨上がりのように』は17歳の女子高生と45歳のオッサン。
本作は35歳の女性と定年を迎えたジイサン
大泉洋と舘ひろし、どちらも若い女性に言い寄られて鼻の下を伸ばすけれど、
大泉洋のほうがだいぶん理性的で「あり得ないこと」と自分に言い聞かせるイイ男(笑)。
一方、この舘ひろしは妄想するする。
娘は、父親がいまさら恋に走ったらどうするのと少しは心配しますが、
妻はもしも夫が本当に恋できたなら見直すわと余裕の構え。

待ち伏せして偶然を装ったりするところなど、かなり滑稽でイタイ。
まぁまぁ面白くできているとは思うものの、ちょっとスベリ気味なんだなぁ。
それが役者のせいなのか、中田秀夫監督のせいなのかはわかりません。
中田監督はやはりホラーを撮っているほうがいいのかも。

ジイサン相手に若い子が本気になるわけがない、ごちそうしてもらえると思っているだけ、
1回ぐらいヤラしてくれる女性もいるかもしれないけれど、それはメシ代よ。
とは娘の言葉。手厳しい(笑)。いや、1回ヤラしてももらえないのでは。(^^;

そもそも舘ひろしがタイプじゃないんですが、
どちらかといえば彼は白髪のままのほうがよくありません?

あ、車のナンバーネタもあった。
映った車のナンバーは「4989」でした。四苦八苦。

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『羊と鋼の森』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の18本目@伊丹)

2018年06月18日 | 映画(は行)
『羊と鋼の森』
監督:橋本光二郎
出演:山崎賢人,鈴木亮平,上白石萌音,上白石萌歌,堀内敬子,仲里依紗,
   城田優,森永悠希,佐野勇斗,光石研,吉行和子,三浦友和他

土曜日に西宮で希望どおりの3本ハシゴができたおかげで、
日曜日は西宮より断然近い伊丹で週末公開作品の網羅可能。
通常、駐車券は最大で2枚までしか使えないけれど、
映画を3本以上観るときにゲートを開けてくれる駐車サービスにも慣れっこ。
朝9時半に到着、お帰りは?と尋ねられて、夜7時には出ますと答えました。

とても好きな作家、宮下奈都
第13回本屋大賞に輝いた同名ベストセラーはわりと最近読みました。
あまり早く読むと内容を忘れちゃいますからね。レビューはこちら
宮下奈都の作品の中ではいちばんという感じじゃないなぁと思っていたのですが、
この映画版はとてもいい。もう一度読み直して余韻に浸りたくなりました。
薄闇の体育館の中、雪のあかりに照らし出されるピアノ。
この冒頭のシーンで見事に引き込まれます。

北海道の山奥で生まれ育った外村直樹(山崎賢人)。
将来の目標などないままに高校生活が終わろうとしていたある日、
担任教師から頼まれて、放課後の体育館へ客を案内する。

その客はピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)。
体育館のステージ上に置かれているピアノを調律しに来たのだ。
案内だけして立ち去ろうとしたとき、板鳥が叩いた鍵盤の音に思わず振り返る。
そこに森のにおいがしたから。

東京の調律の専門学校を卒業した直樹は北海道に帰り、
板鳥が勤務する江藤楽器店に就職する。
しばらくは先輩調律師の柳伸二(鈴木亮平)に同行することになり、
さまざまなピアノの持ち主や弾き手と出会う。

そんな弾き手のうちの一組が佐倉和音(上白石萌音)と由仁(上白石萌歌)。
姉妹でありながら性格もピアノの弾き方も対照的なふたりに会い、
直樹は調律のむずかしさを実感するのだが……。

原作の良いところがギュッと詰まった感じです。
恋愛ものが多いイメージの賢人くん、私はこの役が今まででいちばん好き。
江藤楽器店に初出勤したさいの、彼の表情にはこちらがニッコリ。

もうひとりの調律師・秋野匡史(光石研)は、柳とはちがって素っ気ない。
ひねくれた人間なら何この人と思いそうなところ、
直樹の頭にはちらりともそんなことはよぎりません。
彼の「知りたい」と思う素直な気持ちがそうしてみんなに届く。

原作で大好きだったゆで卵に関するくだりがきちんと出てくるのも楽しい。
ついでにそれがどんなくだりだったかを記しますと、
「蒸したアスパラガスに添えるのは、温泉卵に近いようなとろとろのゆで卵がいい。
それをソースのようにからめて食べるとおいしい。だろ?
お客さんはそれを食べたことがあって、その上で尚、かたゆでがいいと言っているのか、
もしくはゆですぎた卵しか知らなくてかたゆでがいいと言っているのか、
その辺の見極めが難しいんだ」。
お客さんの言う「かたい音」ってどんな音だろうと悩む直樹への柳の言葉です。
すごくいい例え。

映像化してこんなにウキウキさせられる作品も久しぶり。
欲をいえば、秋野の調律を見てみたかったかも。

カンヌでパルムドールを受賞した『万引き家族』が絶賛公開中ですが、
ハッピーエンドを見たい人にはこちらをお薦めします。

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『デッドプール2』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の17本目@西宮)

2018年06月17日 | 映画(た行)
『デッドプール2』(原題:Deadpool 2)
監督:デヴィッド・リーチ
出演:ライアン・レイノルズ,ジョシュ・ブローリン,モリーナ・バッカリン,
   ジュリアン・デニソン,ザジー・ビーツ,T・J・ミラー,忽那汐里他

TOHOシネマズ西宮で『レディ・バード』『30年後の同窓会』→〆にこれ。

『名探偵コナン ゼロの執行人』が7週連続で興行成績1位を獲得。
8週目にその座をかっさらったのは本作だったそうで。
私はアメコミオタクではないので、そんなに人気があるとは信じられないのですけれど。
実際、公開2週目には客の入りもさほどではなくなったらしく、
私が観た回も土曜日だったにもかかわらず半分くらいの入り。
観てみればより強く思います、これってオタクのための作品ですよね?

だけど、アメコミオタクだけじゃなくて、映画オタクも楽しめます。
『デッドプール』(2016)とは監督が替わり、デヴィッド・リーチ監督へ。
もうやりたい放題、パロりまくりでかなり笑いました。

末期癌で余命わずかのウェイドが望みを託して受けた手術がいかがわしい人体実験
無敵の“デッドプール”と化し、もはや死にたくても死ねない体になってしまった。
お調子者の彼は悪い奴らをバッタバッタとなぎ倒したあと、
愛しのヴァネッサにプロポーズ、受け入れられて幸せの絶頂。
ところがデッドプールを殺そうとやってきた奴らがいた。
巻き添えを喰らったヴァネッサが死に、悲しみに暮れるウェイド。

生きる気力を失ったウェイドの前に、機械と生物の融合体、超人ケーブルが現れる。
ケーブルが狙うのは孤児院に暮らすミュータントの少年ラッセル。
天国にいるはずのヴァネッサから背中を押され、ウェイドはラッセルを救う決意をする。

ひとりではケーブルにとても太刀打ちできないと考えたウェイドは、
“Xメン”ならぬ“Xフォース”を結成しようとメンバーを募る。
採用したメンバーとともにラッセル救出に向かうのだが……。

冒頭に登場するオルゴールが“ローガン”仕様。
オルゴールのネジがローガンの胸に刺さっているのですから、そこからしてワラける。
終始ありとあらゆるパロディが登場するので、すべて拾えているかどうか自信なし。
拾いきるのが大変なほどだから、まったく知らずに観て面白いのか疑問です。

“Xフォース”のメンバーに採用されたバニッシャーは、透明人間だから映りません。
だけど、殺されたときに一瞬現れた顔がなんとブラピ
数秒のことだったから、今のはブラピでしょ?どんなカメオ出演よと思いながら、
帰宅後に調べたらやはりそうでした。
マット・デイモンも出ていたとは気づかなかったんだなぁ。悔しいぞ。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で主役も食う勢いだったサノス役のジョシュ・ブローリンがケーブルに扮し、
サノスももちろんパロっています。
無敵の悪役、怖すぎると思っていたら、最後はなんと泣かされて。
前作より私は遙かに楽しかった。

ちなみに本作の上映終了時刻は20:35。
まっすぐ帰りたくなる時間帯のところ、美味しいものが食べたくなったから武庫之荘へ。
入店時は団体さんが入られていて大盛況でしたが、22時近くにお開き。
その後、私ひとりの貸切状態になったので、
スタッフの皆さんにおしゃべりにつきあっていただき、楽しく食べて飲みました。
ダンナの出張中ならではの一日の楽しみ方。

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『30年後の同窓会』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の16本目@西宮)

2018年06月16日 | 映画(さ行)
『30年後の同窓会』(原題:Last Flag Flying)
監督:リチャード・リンクレイター
出演:スティーヴ・カレル,ブライアン・クランストン,ローレンス・フィッシュバーン,
   J・クィントン・ジョンソン,ユル・ヴァスケス,シシリー・タイソン他

好きだった映画を何本かに絞って挙げるなんて無理な話だと思っていたので、
以前はそれを挙げてみようとは考えもしませんでした。
だけど2015年からは気が向いて、「好きだった映画、嫌いだった映画」を挙げることに。
もしも2014年に気が向いていたら、
リチャード・リンクレイター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)は、
まちがいなくランクイン、いや、私の1位だったかもしれません。

この邦題のせいで、オッサン3人のドタバタ同窓会を想像していました。
そうしたら全然ちがう。
なんでまたこんな邦題を付けのだろうと訝っていたら、
ダリル・ポニックサン原作の『さらば冬のかもめ』(1973)の30年後という設定なのですね。

2003年。安酒場を経営するサルのもとを訪ねてきたドク。
サルとドクはかつて海軍に所属して共にベトナム戦争を戦った仲。
30年音信がなかったが、インターネットで何でも調べられる時代、
ドクはサルのことを調べて店にたどり着いたと言う。

ドクに言われるままに車を走らせたサルは、教会に到着。
いったい何があるのかと思ったら、牧師はもうひとりの旧友ミューラーではないか。
従軍時、さんざん悪さをしていたミューラーが説教する立場とは笑える。

ミューラーは迷惑そうな顔をするものの、妻の配慮によりサルとドクを招き入れる。
するとドクがふたりに頼み事があると話を切り出す。

ドクには妻子がいたが、妻を失ったのち、息子のラリーがイラク戦争へ。
ラリーが戦死したとの報せを受け、遺体の確認に行かなければならない。
ついてはサルとミューラーについてきてはもらえぬかとのこと。

サルは快諾。脚の悪いミューラーは断ろうとするが、妻に促されて渋々承諾。
こうして、ラリーの軍葬に立ち会うため、3人で出発するのだが……。

戦場で亡くなったとはいえ、本当は戦いでもなんでもない状況でなくなった若者たち。
それをあくまでも隠して英雄扱いしようとする政府と、本当のことを知りたい親。
真実を告げられることがいい場合もあれば、それが望まれない場合もある。
元兵士宅を訪れる3人とその母親とのやりとりが頭に残ります。

ヘヴィーになりそうな内容のところ、ユーモアを交えて描かれるのは○。
スベリ気味のジョークも多く、重さと軽さのバランスが半端ではあるけれど、
ドク役のスティーヴ・カレル、サル役のブライアン・クランストン
ミューラー役のローレンス・フィッシュバーン、3人とも名役者。
この3人の珍道中は楽しくないわけがありません。旧友との旅は良いもの。

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