雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

颯爽たる姿 ・ 心の花園 ( 42 )

2013-05-05 08:00:45 | 心の花園
          心の花園 ( 42 )

              颯爽たる姿


気がつくと、下を向いて歩いていることが時々あります。
特別落ち込んでいるわけではないのですが、ふと気がつくと、肩を落として歩いているのです。そして、そんな自分が、何かに取り残されているように思われ、惨めな気持に襲われてしまう・・・


そんな時には、ぜひ、心の花園を覗いてください。
そう、「テッポウユリ」などどうでしょうか。
漢字書きでは「鉄砲百合」となりますが、危険な雰囲気など全くなく、すっと伸びた姿は堂々としていて、自信にあふれています。

「テッポウユリ」はわが国が原産地で、九州南部から南西諸島がその故郷です。
その気品ある姿は古くから大切にされていて、仏花としてもよく使われますが、江戸時代にはヨーロッパに紹介されたちまちその美しさが珍重されるようになりました。
白いユリは、キリスト教では聖母マリアに捧げられる花として「マドンナ・リリー」と呼ばれています。
「テッポウユリ」がヨーロッパに伝わってからは、主としてこのユリが「マドンナ・リリー」として用いられているそうです。

「テッポウユリ」とよく似たものに「タカサゴユリ」という種類があります。「テッポウユリ」よりやや大型で逞しく感じられます。こちらは台湾原産のユリですが、早くにわが国に入り野生化しています。種子を多く付け、風で運ばれ広く分布しており、里山や野原の中ですっきりと茎をのばし、辺りを見回すように威厳のある姿で咲いているのは、「タカサゴユリ」であることが多いようです。
ただ、この両種は交雑したり、特に園芸種では改良がなされ、見分けるのが難しい場合が多いようです。

「テッポウユリ」の花言葉は「純潔」そして「威厳」です。他のユリ類も、「上品」とか「無垢」などといった、気品を感じさせるものが多いようです。
走り続けるような日々の中で、ふと自身を失いそうになった時には、心の花園の「テッポウユリ」の凛々しい姿を思い浮かべて下さい。大丈夫ですよ、雑草の中にあっても、「テッポウユリ」だって自分の姿を素直に表現しているのですから。
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