麗しの枕草子物語
様変わりの人とは
「生まれ変わって天人になってしまったのだろうか」と思われるほど、様変わりしてしまう人っておりますわよねぇ。
平凡な女房として宮仕えしていた女性が、皇子の御乳母となられたなどは、まさにそうですわ。
女房の制服ともいうべき唐衣も着ないで、どうかすると裳さえ着けない格好で、皇子に添え臥し、畏れ多くも御帳台の内を当然のように居場所にしているのです。
女房たちを当然のように使い、自分の部屋への用事なども申しつけたり、手紙の取り次ぎをさせたりしているのですよ。いやはや、大変なものですわよ。
雑色の身分の者が、抜擢されて六位の蔵人に昇進した場合も、それはそれはすばらしいものです。
昨年の賀茂の臨時祭の時には、御琴を支えていて人並みにさえ見られていなかった人が、蔵人となった今年は、君達(キンダチ)と連れ立って歩いているのですから、「一体どこの御方かしら」と思ってしまいます。
まあ、同じ六位の蔵人といっても、雑色からではなく、然るべき立場の方が就かれた場合は、それほどでもありませんが。
(第二百二十八段・身を変へて・・、より)
様変わりの人とは
「生まれ変わって天人になってしまったのだろうか」と思われるほど、様変わりしてしまう人っておりますわよねぇ。
平凡な女房として宮仕えしていた女性が、皇子の御乳母となられたなどは、まさにそうですわ。
女房の制服ともいうべき唐衣も着ないで、どうかすると裳さえ着けない格好で、皇子に添え臥し、畏れ多くも御帳台の内を当然のように居場所にしているのです。
女房たちを当然のように使い、自分の部屋への用事なども申しつけたり、手紙の取り次ぎをさせたりしているのですよ。いやはや、大変なものですわよ。
雑色の身分の者が、抜擢されて六位の蔵人に昇進した場合も、それはそれはすばらしいものです。
昨年の賀茂の臨時祭の時には、御琴を支えていて人並みにさえ見られていなかった人が、蔵人となった今年は、君達(キンダチ)と連れ立って歩いているのですから、「一体どこの御方かしら」と思ってしまいます。
まあ、同じ六位の蔵人といっても、雑色からではなく、然るべき立場の方が就かれた場合は、それほどでもありませんが。
(第二百二十八段・身を変へて・・、より)