雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

人の家につきづきしきもの

2014-07-03 11:00:52 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百十八段  人の家につきづきしきもの

人の家につきづきしきもの。
臂(ヒヂ)折りたる廊。円座(ワラウダ)。三尺の几帳。
大きやかなる童女。よき半物(ハシタモノ)。侍の雑仕。
折敷。懸盤。中の盤。

おはらき。衝立障子。撹き板。
装束よくしたる餌袋。
唐傘。
棚厨子。提子。銚子。


ちゃんとしたお屋敷にふさわしいもの。
廻り廊下。円座。三尺の几帳。
大柄な小間使い。器量の良いまだ若い下働き。侍所の下仕えの女(多くの研究者が「侍の曹司」として、侍の詰所としているようだが、文脈からは、「仕えている女」とする方が自然に感じられる)。
をしき。かけばん。ちゅうのばん。(いずれもお膳)

おはらき(不詳)。衝立障子。かきいた(「硯箱に入れる小物」か「裁縫のへら台」か)。
美しく飾り立てている餌袋。
唐傘(大型の物らしい)。
たなづし。ひさげ。ちょうし。(この三点は、立派な屋敷の寝殿の母屋の調度品)



ここでいう「人」というのは、かなり上流社会のことを指しているようです。
廻り廊下があって、使用人も一人や二人ではなく、複数いるのですから、一般庶民ではないことは確かです。しかし、「やむごとなき人」となればスケールが全然違ってきますから、少納言さまクラスの家のことのようにも思われるのですが、「侍の雑仕」とありますので、侍所が置かれるのは摂関大臣家に限られるそうですから、つじつまが合いません。
実際はどのくらいの家を指しているのでしょうか。

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