キプロスの金融危機が、ユーロ圏経済に影響を及ぼし、それがアメリカ株式市場の反落につながり、それを受けたわが国の株式市場も下落する・・・。
先週末の一日二日は、世界経済は繋がっているということを教えてくれるお手本のようなものでした。
これは決してキプロスという国家や国民について非難しているつもりはありませんので、くれぐれも誤解がないようにお願いしておきたいのですが、人口や経済規模からすれば間違いなく小国の部類だと思うのですが、世界経済に対してこれだけの影響をもっていることに驚くとともに、確かに私たちの生活のすべての面が、良いにつけ悪いにつけ、廻り廻ってくる波を受けていることになっているようです。
テレビなどの街頭インタビューなどで、最近の株式市場の活況について、「恩恵を受けているのは一部の金持ちだけだ」といったものを見る機会が何回かありました。番組の構成自体がそのような意見を期待している様子が見え見えのものもいくつかありました。
個人的な感情からいえば、「そうだ、そうだ」と叫びたい気持ちも確かにあるのですが、それはあまりにも短絡的な考えのようにも思うのです。
株式取引に何の関係もない人であっても、例えばこの三カ月程の値上がりだけで、年金資源は増加していて、年金制度に何の工夫がなされないとしても、破綻するのが何カ月かは先に延びたはずですよ。つまり、現に年金を受給しているいないかに関わらず、加入している人すべては、その恩恵を受けているはずです。もしかすると、下手な株式投資家よりも恩恵は大きいかもしれません。
もっとも、この十数年にわたる、年金資金を管理している組織の立派な運用の在り方が、現在の年金システムの危機の原因の何割かになっているともいえることになります。破綻危機の原因は、少子高齢化だけではないはずなのです。
お花見の季節、今年は各地とも相当早く、行事の調整などに苦心されている人もいるかに聞いています。
まあ、こちらの方は、たとえ葉桜になったところで、年金資金をじゃじゃ漏れにされたほどのことはありますまい。
ところで、お花見の桜といえば、やはりソメイヨシノが主流のようです。八重桜やシダレザクラも捨てがたいですし、日本人は何といっても山桜だという人もいるそうです。各地には、それぞれに特徴ある桜を愛でる人々も少なくありませんが、全体としてはやはりソメイヨシノの存在感は圧倒的です。
しかし、このソメイヨシノは江戸時代に江戸の染井村で交配により生み出された新しい品種なのです。ソメイヨシノは種で増やすことは出来ませんので、一本一本接木などで増やしていくそうなのです。つまり、わが国だけでなく、ワシントンにあるソメイヨシノも、全て一本の木から生み出されたクローン桜なのです。
廻り廻って全国に広がり、今や気象庁はじめ桜ウオッチャーに追い回される存在になっているのです。
私たちの日常は、あらゆる事件や事象が廻り廻って影響を受けているのです。
落語の中にはご隠居さんなる人物がよく登場します。たいていは浮世離れしているように描かれていることが多いものです。かつて、唐土には仙人なる浮世を超越した生活を送っていた人々がいたそうです。
わが国でも、平安や鎌倉時代には、末法思想の影響もあってか、仙人のような生き方にあこがれた人々も少なくなかったそうです。かの西行もそうだったのかもしれません。
しかし、実際はどうだったのでしょうか。廻り廻って押し寄せてくる世間のしがらみを捨て切れることなど出来たのでしょうか。西行に関する断片的な知識からいえば、とてもとてもそんな様子は感じられず、廻り廻って押し寄せてくる世間の波にどっぷりとつかった生涯だったように見えてしまうのです。
現代に生きる私たちには、そのようなことを望むこととて困難なことです。
せめて、植木職人の手で生み出された一本の桜から、廻り廻って各地で花を咲かせているソメイヨシノの健気さに想いを寄せながら、お花見を楽しむとしますか。
( 2013.03.26 )
先週末の一日二日は、世界経済は繋がっているということを教えてくれるお手本のようなものでした。
これは決してキプロスという国家や国民について非難しているつもりはありませんので、くれぐれも誤解がないようにお願いしておきたいのですが、人口や経済規模からすれば間違いなく小国の部類だと思うのですが、世界経済に対してこれだけの影響をもっていることに驚くとともに、確かに私たちの生活のすべての面が、良いにつけ悪いにつけ、廻り廻ってくる波を受けていることになっているようです。
テレビなどの街頭インタビューなどで、最近の株式市場の活況について、「恩恵を受けているのは一部の金持ちだけだ」といったものを見る機会が何回かありました。番組の構成自体がそのような意見を期待している様子が見え見えのものもいくつかありました。
個人的な感情からいえば、「そうだ、そうだ」と叫びたい気持ちも確かにあるのですが、それはあまりにも短絡的な考えのようにも思うのです。
株式取引に何の関係もない人であっても、例えばこの三カ月程の値上がりだけで、年金資源は増加していて、年金制度に何の工夫がなされないとしても、破綻するのが何カ月かは先に延びたはずですよ。つまり、現に年金を受給しているいないかに関わらず、加入している人すべては、その恩恵を受けているはずです。もしかすると、下手な株式投資家よりも恩恵は大きいかもしれません。
もっとも、この十数年にわたる、年金資金を管理している組織の立派な運用の在り方が、現在の年金システムの危機の原因の何割かになっているともいえることになります。破綻危機の原因は、少子高齢化だけではないはずなのです。
お花見の季節、今年は各地とも相当早く、行事の調整などに苦心されている人もいるかに聞いています。
まあ、こちらの方は、たとえ葉桜になったところで、年金資金をじゃじゃ漏れにされたほどのことはありますまい。
ところで、お花見の桜といえば、やはりソメイヨシノが主流のようです。八重桜やシダレザクラも捨てがたいですし、日本人は何といっても山桜だという人もいるそうです。各地には、それぞれに特徴ある桜を愛でる人々も少なくありませんが、全体としてはやはりソメイヨシノの存在感は圧倒的です。
しかし、このソメイヨシノは江戸時代に江戸の染井村で交配により生み出された新しい品種なのです。ソメイヨシノは種で増やすことは出来ませんので、一本一本接木などで増やしていくそうなのです。つまり、わが国だけでなく、ワシントンにあるソメイヨシノも、全て一本の木から生み出されたクローン桜なのです。
廻り廻って全国に広がり、今や気象庁はじめ桜ウオッチャーに追い回される存在になっているのです。
私たちの日常は、あらゆる事件や事象が廻り廻って影響を受けているのです。
落語の中にはご隠居さんなる人物がよく登場します。たいていは浮世離れしているように描かれていることが多いものです。かつて、唐土には仙人なる浮世を超越した生活を送っていた人々がいたそうです。
わが国でも、平安や鎌倉時代には、末法思想の影響もあってか、仙人のような生き方にあこがれた人々も少なくなかったそうです。かの西行もそうだったのかもしれません。
しかし、実際はどうだったのでしょうか。廻り廻って押し寄せてくる世間のしがらみを捨て切れることなど出来たのでしょうか。西行に関する断片的な知識からいえば、とてもとてもそんな様子は感じられず、廻り廻って押し寄せてくる世間の波にどっぷりとつかった生涯だったように見えてしまうのです。
現代に生きる私たちには、そのようなことを望むこととて困難なことです。
せめて、植木職人の手で生み出された一本の桜から、廻り廻って各地で花を咲かせているソメイヨシノの健気さに想いを寄せながら、お花見を楽しむとしますか。
( 2013.03.26 )