マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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脇本春日神社宮送り巡拝

2008年12月23日 08時28分05秒 | 桜井市へ
桜井市脇本に鎮座する春日神社の祭礼は簡素化しているものの古くから伝わるかたちを残している。

秋祭りが営まれた一週間後の朝、頭屋の家に宮司と一老さんがやってくる。

今日は頭屋が一年間担ってきた祭礼の最後の行事である宮送りだ。

前日に五升五合搗かれた御供モチは二段重ねの鏡餅。

軟らかいうちに餅の上を窪めて皮を剥いたクリで真ん中をぐいと押し込んで入れる。

かつてブリキの型枠で作った「ハチ巻き飯」が餅に替わったという鏡餅はユニークな形式だが意味は判らないという。

座衆が来る前に春日神社、岩蔵さん、弁天さんへ巡拝する。

桶のなかには御供に四つと宮座衆八つ、神官、一老の合計十四が入っている。

祭壇に供えて祓えの儀、祝詞奏上、拝礼など神事が行われたあとは岩蔵さん、弁天さんへの巡拝へと向かう。

ひと通りの神事を終えると頭屋の家に戻ってくる。

座敷には奉書に載せられた中央のクリが埋め込まれた鏡餅。

四隅にはナスビ、コイモ、エダマメにスルメとコンブが置かれる。

鏡餅にはクリが見えなくなるよう上から土器(小皿)と呼ばれるものを被せる特異な膳だ。

その前には祝い箸。

以前はクリの箸を使っていたそうだ。

当主は一年間お世話になりましたとねぎらいの言葉をかけて酌に回る。

後ほど行われる頭屋渡しまでの時間は座衆接待の場だ。

(H20.10.19 Kiss Digtal N撮影)