マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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タワミネサンのゴク作り

2010年04月12日 07時09分26秒 | 曽爾村へ
タワミネサンの岳のぼりがある曽爾村の小長尾。

春の農休み(め)にあたる岳のぼり

農作業にとりかかる前に先に休んでおく農休めである。

六つのコバ(木場)から選ばれる当屋が岳のぼりに撒かれるモチを作る役目にあたる。

当屋はとーやと呼ぶ。

昔はふりだしと呼ばれる作法で当屋籤を引いた。

椀のなかに籤を入れて穴の開いた半紙を被せる。

それをふっと上に振る。

すると当たりの籤が飛び出す。

それが当屋さんだ。

いわゆる神籤であるのだが何故か何回も当たってしまうという元区長。

私が嫁にきてから3回も当たったんよと奥さんは話す。

不公平のないようにといつしか籤は家の順の廻り当番制になった。

天神社の当屋もそうなった。

かつては引き渡しもたいそうだった。

奉られた御幣を持って次の当屋の家に行く。

そこでごちそうを食べ、酒を飲み交わしていた。

長時間の引き渡しの場だった。

それがお茶を飲み交わすだけになった。

御幣を引き渡すのは変わっていないがすごく短時間になったという。

御幣は当屋の家で一年間奉る。

下のコバは5軒。

タワミネサンの当屋廻りは早い。

高齢化甚だしく、ゴク作りがたいへんだという。

ゴクは米粉(こめこ)が主体になる。

大字43軒は一升分ずつの白米を寄進する。

集まったら三斗にもなる。

単位は三斗だが、これをサンドと訛って呼ぶ。

米粉は挽いていた。

相当な量なので長時間どころかたいへんな重労働だった。

今年のタワミネサンから大きな転換が図られた。

米粉は米屋さんで挽く。

それなら最初から挽いてもらったほうがえーやろということで米屋から買うことにされた。

米粉は熱い湯を少しずつ注いで練る。

米粉だけではバラバラになる。

繋ぎに餅米を使う。

それと一緒に練るのだが、熱湯や配分加減は感覚でしているという。

湯は熱湯でないと口内でへばりつくそうだ。

コバごとに作るので食べたときにどこのコバが作ったんじゃと叱咤されるらしいのでゴク作りはたいへん重要なのだと話す。

ゴクは漢字で書けば御供。

練った米粉を棒状に伸ばして蒸す。

これをゆっくり冷ましてから切る。

タワミネサンの岳のぼりの前夜はこうして作業を終える。

村の大切な行事、米粉は買うようになったがゴク作りだけはこれから続けていきたいと仰る。

ちなみに大きく平べったいモチは「カサモチ」と呼んでいる。

(H22. 3.16 聞き取り)