マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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下狭川社日の水口まつり

2010年04月23日 08時09分36秒 | 奈良市(東部)へ
毎年2月17日におんだ祭が行われている下狭川の九頭神社。

神事で奉られた松苗は地区の人が貰って帰る。

その松苗は「社日(しゃにち)」の日に田んぼなどに挿して豊作を祈願するようにと分けられる。

今年の春の社日は19日。

神職を勤める前からそうしてきた元宮司のOさん。

当日は家の事情でできなくなったので彼岸の中日前の日となった。

下狭川には布目ダムから須川ダムを経由してトンネル水道が敷かれている。

昭和40年ころの渇水対策で埋設された水道だ。

かつて田んぼに水を引いていたのは山で蓄えられた地中水。

天水嶺から浸みた水は地中へと入っていく。

山の水はわき水となって田んぼに引いていた。

地層は西に向かって傾斜しているから渇水のときはこっちへはやってけーへんかったと話す。

渇水対策は井戸も掘って対応した。

奈良市内の富雄川流域の砂茶屋で井戸を掘った。

溜まっていた水はすぐに涸れた。

それは一時的な対応だったと元水道局に勤めていたOさんは何十年も前のことを思い出される。

大工事だったダムやトンネル隧道の建設を経て村々では水の恩恵に授かっている。

本来なら苗代ができた日に松苗を供えて豊作を祈願するのだが、下狭川は社日の日と決まっている。

理由は判らないがこうしているのは昔からの言い伝えを守っているのだという。

稲苗は籾から作っている家は多くない。

JAで苗を買うようになってからは苗代も見られなくなった。

松苗祀りは栽培している畑やハウスでも構わないからと神社はおふれをだしている。

Oさんは88歳現役農家。

4反も稲作を営んでいる。

おんだ祭でたばった松苗を供えるのは五穀豊穣への祈り。



植え付ける籾は彼岸が終わったころから始まる。

それまでは畑を耕して畝を作る。

水を張って柔らかくする。

今が丁度その時期だ。

そのあとは荒起こしして平坦にする。

籾はといえば月末のモミツケから始まる。

籾種は塩水に浸けておく。

そこに生タマゴを浮かべる。

水面スラスラまで浮き上がれば丁度いい塩梅(あんばい)の塩水。

モチゴメは軽いので生タマゴが底にあるぐらいでいい。

消毒して一週間ほど浸けて、電気で温め芽が出るまでハウスで育苗する。

4月の7日、8日辺り、土を塗したセイロに籾を蒔く。

上から被せの土を蒔いて1箱できる。

1反に25箱要るから4反なら100箱。

機械の籾蒔きはあるが手のほうが早いのだとセイロ箱を一日がかりで作っていく。

そのころの田んぼは代掻き。

平坦にした田んぼに水を入れて掻いていく。

そして、育苗した苗を田んぼに植えていく。

前日の気温は25.9度。まるで夏日だった。

強風が吹き荒れ春一番の様相は朝方まで続いた。

今朝はお日さんが朧(おぼろ)のような姿ですっきりしない。

黄砂が空を覆い尽くしてしまった。

毎年のことだが、収穫を迎えるまで自然に向き合って稲作に勤めていかねばならない。

(H22. 3.21 EOS40D撮影)