マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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鵜山の山の神

2013年04月12日 08時07分27秒 | 山添村へ
広瀬で立ち話してくださったT婦人。

出里は三重県の鵜山だそうだ。

そこでは朝から集落の婦人たちが木にモチをつけた「ナリバナ」を持ってくるという。

その鵜山は奈良県にもある。

広瀬と同じように山の神があると知って訪れた山添村の鵜山。

鵜山と広瀬は名張川を挟んだ東西の地。

川に沿って向かえば鵜山があると聞いて訪れた八柱神社。

本殿外側の木に掛けてあったカギヒキ。

クラタテもある。

神社前に住むO婦人に山の神のことを尋ねた。

カギヒキはカシの木。北の方角を向いて「ひがしのくに・・・」と唱える。

「暗いうちやった」と云うから朝7時ぐらいの様相だ。

カギヒキの下のクラタテは五つ。

半紙を広げて四方に竹を立てる。

それがクラタテ。

キリモチのようなものが残っていた。



『やまぞえ双書』によれば山の神はカシの木の下にある石の御神体。

藁で作ったホウゼンを供える。家の男の人数分の「恵比寿・大黒」の小石を中に入れるとある。

ホウゼンはカシの木に括りつける。

かつては夜が明けないうちにと云って誰よりも早くお参りをしたようだ。

「さあさあ よろずの宝がオレの方へエンヤラサ エンヤラサー」と唱和するカギヒキ唄も掲載されていた山の神のクラタテはおよそ20個。

この年に拝見したクラタテは5個であった。

村の戸数は18戸であるがお参りをする人が少なくなったと話すO婦人。

婦人が話した鵜山の行事にオコナイとフクマルがある。

1月9日は神社境内社の真福寺でオコナイがあるという。

村の長老らがお寺で般若心経を唱える。

その最中に太鼓を打つ。

ハゼの木で寺の縁側を叩きつける。

ハゼの木は竹に替ったようだがランジョーの作法に違いないが、同時に婦人たちが寺の座敷を掃除するという。

面白い作法に興味を持ったオコナイは悪魔祓いと云うようだ。

その日は勧請縄も作る。

縄に松やフクラソを取り付ける。

房のことであろう。

勧請縄を椿の木に掛けると云う。

もう一つのフクマルは大晦日の行事。

生竹を燃やしてポンポンと爆ぜたら「フクマルコッコー」と唱和する。

昨年は18時にしたがいつもなら20時ぐらいだったそうだ。

(H25. 1. 7 EOS40D撮影)