マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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豊井町小正月の豊作願い

2013年04月30日 08時13分25秒 | 天理市へ
豊井町の田んぼにあったお供え。

15日の朝食後に供えたと田んぼの主が話す小正月の風習である。

農家にとっては秋の収穫は毎年のこと。

苗代を始めるまでは数カ月。

新年を迎えてやがて小正月。

元日は大正月。

年神さんを迎えて正月を祝う。

それより2週間後の小正月は五穀豊穣を願う農耕の予祝行事を神社或いはお寺で行っている。

農業を営む人にとっては稲作をする田んぼが大切な場である。

O家では小正月の15日の朝食にアズキ粥を炊いた。

それから荒起こしをした田んぼに出かける。

そこに供えたのは正月のモチとアズキ粥に煎った米も供える。

傍らに立てたのがススキの穂。

それらをおまして手を合わせる。

供えた場は苗代をするところだ。

半紙に包んだのは正月のモチと同様のツルシガキ、トコロイモ、ミカンにモチ。

小皿に盛っていたアズキ粥は帰るときに田んぼに落とす。

鳥に食べてもらうのだと話す。

立てたススキは稲穂が実る姿。

苗代の苗が育ってほしいという願いは二ノ正月行事だと云う。

お供えを終えて帰宅すればアズキ粥を食べる。

箸は田んぼに立てたカヤススキの茎。

それを使ってアズキ粥を一口食べる。

実りの予祝は収穫した食べ物を意味するのであろう。

一口後は家庭の箸で家族揃って食べると話す農主は正月過ぎに「コンゴリ」と呼ぶ米ダンゴを作って食べたと云う。

ダンゴはコバン型でキナコを塗して食べる。

「寒のモチと同じようなもんだわ」と話す。

小正月のとんどの火で翌朝にアズキ粥を炊いて食べる風習を明日香の越(こし)や高取の佐田で聞いたことがある。

その佐田ではツバキの葉、越ではカシの葉を皿替わりに盛ると話していた。

大和郡山市の柏木町でもビワの葉に盛っている。

豊井町でも同じようにとんどの火であったのか、後日に聞いた結果はあった。

あったが中断したと話す村役員。

豊井町においてもアズキ粥の風習は小正月のとんどと関連していたのであった。

(H25. 1.19 EOS40D撮影)