マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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家の風習3

2013年04月18日 06時51分39秒 | 山添村へ
大晦日の夕方である。

前庭に門松を立てて松と注連縄を張る。

それからマメギの松明を持ってきて火を点ける。

予め小石を入れておいた松明にはジンがある。

それによってよく燃えると云う。

マメギは火を点けるとパチパチ弾ける。

その場で「フクマール コッコッイ」を3回唱えながら屋内に入る、「フク」を家に呼び込む作法である。

「フク」と共に家に入れば火ばちに火を移す。

火ばちはもうもうとして煙まみれになるそうだ。

そのときに使われたマメギを拝見した。

クワ初めをされた男性は数日後に「なるかならんか」をしているという。

「生る」は植物が実を結ぶことだと『石井庄司編 国語辞典』に記されている。

「成るか 成らんか」の表記があるのは『広辞苑』。

どちらも正しいのではと二人揃って納得した辞書の解説にあった「なるかならんか」。

「なるかならんか」と云って、家の畑にあるカキの木の幹にナタを切り口に入れる格好をする。

カキの木の皮を剥ぐ。

そうすれば口が空く。

そこにアズキガユを供える。

アズキガユは若水に浸かったモチを粥に入れる。

当日に行われる村垣内のとんどの灰を持って帰って肥やし代わりに田一枚一枚に撒く。

その行為は大人でも子どもでも構わなかった。

かつては1月9日にしていたと語る。

本来は小正月だったというから15日であるが日程が移り替ってとんどの日。

家の風習を今でも継承してきた男性の話を聞いていた14日の成人の日は大雪のために到達することができなかった。

(H25. 1.11 EOS40D撮影)