マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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入院17日目

2015年07月28日 17時19分26秒 | むびょうそくさい
朝の体重は65.6kg。

血圧は99。

状況に変化が認められない。

順調といえば順調な状況に心臓を強くしてきたハンプ点滴を外された。

体重は安定しているし、点滴箇所に腫れもあるので回避手段をとる。

ただし、体重が増加するようであれば点滴は再開すると話すT内科医師の指示であった。

9時半、もよおす大便。

量は少ないがブリブリ。

出血はさほどでもなかった。

9時40分、もう一人のK内科医師の回診に手術の件を伝えられる。

手術は手術室に入ってから4~5時間かかる。

麻酔から覚めるのは当日の夜半から翌朝になるであろう。

経食道心エコー検査で発覚した右・左肺に小さな穴があったのを検出した。

それは胎児のときからあったようだという。

穴は成長するにつれ徐々に小さくなって閉じられるのが、64年間もそのまんまだったようだ。

これによる影響は今のところ見られないが、「健索」繋ぎ処置の際に穴を塞ぐようだ。

手術は入院病棟の2階で行われる。

家族が待つ席はあるが、仮眠できるものではない。

そう思っていたから宿を探したかーさん。

駅と病院の中間地点にある「ホテルいこい」を予約したそうだ。

10時半、2回目の大便。

無性に腹が痛くなってトイレに駆け込む。

ぶりぶりーである。

ところで、患者や見舞い客が利用するトイレは病棟廊下側に数か所ある。

いずれも男女の区別はない。

ドレーン、点滴、心電図モニター、酸素呼吸器などさまざま身体に装着し安静状態のときはベッド横で用を足していた。

いくつかの管は外れて廊下側トイレに行ける日が来た。

ドアはスライドで開けやすく、自動で閉まる。

室内は車イスが入る。

二人の介護士も入れるぐらい広い。

トイレはどこの病院もそうだと思うが、看護師を緊急コールする呼び鈴スイッチがある。

シャワー室も同じく緊急コールスイッチがある。

いずれもコールすれば看護師・介護士が飛んでくる。

そこで、だ。

トイレ扉はどうするか。

鍵はかけておくのか、それとも締めないのか、である。

私が知る範囲では入院患者は締めない、である。

コールスイッチを押すときは患者の緊急コール。

異常状態であれば直ちにドアを開けて患者の措置をしなくてはならない。

が、鍵をかけていればコールしてもドアは開けられない。

開けるには道具が要るらしいが、見たことはないと云う。

私はこれまで何度かの入院体験で判っているからドアは締めない。

用を足して便器に座っていたら、いきなりドアが開いた。

ドアノブは「使用中」のタグを下げているし、電灯も点いている。

それらをまったく意識せずにトイレのドアを開ける。

ノックもせずにいきなりだ。

十中八九、何の前触れもなくいきなり開けられる。

大半が女性である。

家の暮らしもそうしているのだろうか・・・。

10時50分、

体温は37.4度。

やや微熱ぎみだ。

この原因は判っている。

点滴をした箇所が腫れて熱をもっているのだ。

腫れた右腕を湿布する。



午後4時、体温は37.8度に上昇していた。

T内科医師によって、急遽採血される。

右腕は直接採血。

左腕は点滴型採血だ。

午後5時前、3回目のもよおしを感じるが出るものが出ない。



食事後の午後6時50分。

このときの体温は36.7度。

やや落ち着いたようだが、この4回目のもよおしにぶりぶり。

きばってきばっての状態。

この日2度目の採血をした午後9時は37.0度になっていた。

執刀外科医師から手術の方法などの説明を受ける。

予定していた午後7時前から来館していたかーさん。

医師の到着は遅れる可能性があると伝えられていた。

手術が長引いたのであろう。

顔をだされた時間は夜の8時10分。

説明場所に移動して解説される。

病名は「僧帽弁閉鎖不全症」。

昔は「心臓弁膜症」一本で呼ばれていた病状は細分化されたようだ。

手術の処置は自身の「健索」を繋ぐ切除縫合形成術。

場合によっては人工弁に置き換える弁置換術になる。

一般的な事例でいえば9割が形成術で済むが、対応できない場合は置換術。

1割に事例があるという。

そのときの決断は開けてみなけりゃ判らない、というわけだ。

数々の検査の結果、左心房が大きいことが判った。

それはたぶんに5年前、いや10年前、或は20年も前から発症していたと考えられる。

断定年代は不明だが、そのころから心不全になっていたという。

そういえば30年ほど前に地元の上田診療所で検査したときに、先代の大先生が云った言葉が忘れられない。

「あなたの心臓はスポーツマンだ」という。

私は決してスポーツマンでもなくひ弱だった。

スポーツ心臓は心臓肥大によく似ているが、実は違う。

スポーツ心臓はスポーツ選手に多く見られる症状で、心臓が激しい運動に適応して肥大する。

心臓うっ血によって心臓肥大するのとは大違いである。

それはともかく、左心房より僧帽弁を通って左心室へ。

そして大動脈へ流れる血流。

僧帽弁は「健索」で引っ張られて動いている。

健索の本数は人それぞれ。

本数は多いらしいが、主たる健索も含めた何本かが切れている。

これによってひっぱり上げることができなくなった僧帽弁は閉じることなく開いたままで血液が逆流する。

僧帽弁は逆止弁のような機能をもつが、機能が働かなければ大動脈に血が流れることなく、左心房が肥大し肺に水が溜まる。

これまでなんとか頑張ってきた心臓は肥大化し、何らかの状況に至って健索が切れたということだ。

考えるに呼吸困難になったのは浸かったお風呂だと思っている。

しんどい状態はあったもののお風呂に入るまでは呼吸ができていた。

首まで浸かったときだ。

胸が圧迫されて呼吸ができなくなった。

それから横になることもできない身体になった。

ディープ・インパクトを与えたのは入浴だったと思っている。

呼吸困難の状態は喘息の場合と同じである。

これまでずっと何も起こらない、気が付かない心不全状態だった。

心臓はずっと踏ん張っていたが、7月10日の入浴で健索が切れた、ということだ。

僧帽弁の前、それとも後ろ。前後に分かれている。

手術まで至らない患者さんを調査すれば、およそ1/3に閉鎖不全症が見られるらしい。

薬剤投与で済む場合も多い。

継続的な薬剤投与で私の治療をしてきたが、限界である。

根本的な改善策は手術処置である。

転院を指示した前入院先のS心臓外科医師も見極めて手術をすることにしたという。

手術は全身麻酔を施す。

喉からみぞおち辺りまで開腹する。

肋骨の中核をなす骨を機械で縦に切断する。

人工呼吸器を口から挿入して肺まで入れる。

心臓を保護するために人工心臓に置き換える。

手術時間はおよそ4~5時間。

仮に午後1時から始めたとすれば最長で午後6時になるであろう。

場合によって人工弁の置換の決断をしたときはもっと時間が延びる。

本人が、気がつくのは翌朝になるであろう。

考えられる合併症は1.大量出血の場合の輸血、2.心不全のコントロールができない場合、3.70歳以上における2%の脳卒中、4.細菌の感染、5.アレルギー、6.肝機能不全・・などだ。



説明が終わったのは夜の8時50分。

かーさんもそうだが、穏やかでない手術内容を聞いた今夜は眠れそうにもない。

(H27. 7.27 SB932SH撮影)