マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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新泉の薫風に泳ぐ

2016年11月13日 08時55分49秒 | 天理市へ
民俗をとらえている知人から電話があった。

前日に行われた新泉の野神祭りの取材関連に苗代に立てるイロバナを教えてもらって撮っていたそうだ。

場所は2カ所。

新泉の氏神さんを祭る素盞嗚神社の東と西側。

東側はJR桜井線すぐ傍まで迫った処。

そこには数体のコイノボリが泳いでいる。

この日の風は強くて日射も厳しい。

前日は曇り空に無風状態。

明日香村へ向かう道中にあったコイノボリはアブラヤハのようにどてーんと釣りあがるような状態だった。

天気が良くて、風があるならコイノボリも気持ちよく泳いでいるだろうと思った。

まずは足を運ばねばならない素盞嗚神社。

参拝兼ねて祭りの痕跡を拝見する。

社殿に置いてあるのは麦わらで作った牛と馬にムカデ(ジャとも)。



一本木のおんだで子供たちが所作した農耕に見立てた造り物の牛と馬はこうして社殿に残される。

境内左に立てた顕彰板に「天理市無形民俗文化財 第三号 野神祭り保存会 認定 平成十三年三月二十六日 子供達による一連の稲作農耕儀礼」と書かれてあった。

少子化の波に飲み込まれた新泉の行事は将来に亘って頭屋制度を維持することができなくなった。

村行事に移した証しを立てていた。

ところで牛、馬、ムカデは栽培した麦を刈り取って空干し。

麦わらに色合いというか風合いがでるのは翌年のことだ。

干していた麦わらは野神祭りの何日か前に造りあげる。

頭屋制度があったときは栽培も刈り取りも農耕見立てた藁製の牛・牛・ムカデも造っていた。

制度を廃止されて村行事に移ったがこうした作業は村として継承した。



神社西側に植え付けて栽培している麦の穂は青々と育った。

薫風吹くこの日は気持ちよさそうに穂の波を立てた。

向こう側にあるコイノボリも気持ちよさそうに泳いでいる。

先月の4月1日にちゃんちゃん祭りに伺ったお家である。

毎年はこうしてコイノボリを揚げているのですと話していたことを思いだす。

カメラを引いてみれば一目瞭然。

向こうの山は三輪山。

清々しい様相に心が洗われる。

一転して西に向かう。

大和神社の背後に新泉の北池堤がある。



その真上にこれもまた気持ちよさそうに泳ぐコイノボリがあるが水平に張った綱である。

風がキツイだけに泳ぐ姿は東を頭にして水平になる。

その場の下にあるのがつい先日に行われたという苗代田。

すぐ傍を走る列車はJR桜井線。

電車が走る姿に泳ぐコイノボリを配して撮ってみたいと思うが、この日の目的は苗代に立てる松苗とイロバナである。



松苗は2月10日に行われる大和神社の行事である御田植祭で手に入れたものだ。

ここではメッシュ製の幌を被せた2列の苗代がある。

いずれもその先端に立てていた。

(H28. 5. 4 EOS40D撮影)