マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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テントバナにカマ

2016年11月19日 09時33分03秒 | 山添村へ
平成23年のことである。

「今でもしている」と男性が話していたものに飛びついた。

していると云っていたのは5月に行われる「オツキヨウカ」だった。

かつて村では3軒の家が行っていた家の風習である。

それから度々訪れる男性が住む家のカド。

そこに竿を立てて花を飾った「テントバナ」は平成24年、平成25年、平成27年の3カ年。

親族に服忌があった平成26年は中断されたが・・・。

福井県や滋賀県などの民俗を調査している写真家Kの望みを叶えてあげたく、奈良県内の山村を訪れた。

屋敷がある地に向かうには村の寺地のほうからが行きやすい。

反対側であれば車を駐車するには難がある。

そう思って駐車した寺本堂にはかつて利用していた龍吐水がある。

江戸時代のモノではないが、役目を終えた龍吐水も民俗。

保存している地域は多くない。

珍しい消防の道具も記録しておいたほうが良いと伝えて解説する。

オツキヨウカの現場はそこより徒歩百歩ほど。

急な坂道をのろりのろりと登っていく。

高台に石垣がある。

旧村の佇まいをみせる民家が現われる。

瓦屋根に紛れていたが、それはすぐに判った。

赤い花はベニツツジ。

今年もまたされていた男性のオツキヨウカ。

伐採した竹の葉を刈り取って括り付けたベニツツジは前回同様に付近で採取したものであろう。

背景にある屋根を外して撮ってみれば・・・。

初めて見るモノに驚く。

見間違いでなければ・・・農具のカマ。

同村に住むT家は平成19年ころまではオツキヨウナのテントバナを立てていた。

その当時にしていたテントバナの話しを聞いたことがある。

同家のテントバナの竹の先端にカマを立てていたと云っていた。

話しだけであるから実物は拝見していない。

T家と親しい男性はその仕方を聞いたのかもしれない。

これまで取材してきたが、刃を上向きに縛っていたカマを見るのは初めてだ。

その様相が判りやすい場を小刻みに移動しながら写真を撮る。

カマの形が鮮明になるような場の背景に草木があれば判り辛い。

そう思って選んだ背景は「空」である。

ちなみに後日に伺った写真家Kは所有者とお会いした。

そのときに答えてくれたカマの意味。

数年間の取材に私が漏らした「カマ」立ての話題提供に触発されて今年はじめてそうしたと云う。

カマの意味は大風に負けないように風を切る役目。

どちらかといえばまじない的な道具であるが、この在り方を聞いたのは同大字に住むTさんからだ。

私はTさんがかつてしていたことを伝えたまで、であることを付記しておく。

(H28. 5. 8 EOS40D撮影)