マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

稲渕・U家の苗代作り

2016年11月10日 08時40分07秒 | 明日香村へ
前々日に土入れ、モミオトシを済ませていた。

苗代作りは2日にすると決めている明日香村稲渕に住むU家。

日にちは固定しているように聞いた稲渕は前日の2日に伺った。

が、である。

始めたことは始めた苗床作り。

息子さんの仕事に急ぎの要件が入った。

途中までしていた作業は中断せざるを得なかった。

そういう事情が発生して順延されたこの日は間違いないだろうと思って車を走らせた。

到着した時間は午後12時過ぎ。

お二人の男性が作業されていた苗床は2列。

90箱と70箱の合計160箱。

2軒の家族が食べる分以上に作付する。

家族が食べる量はそれほど多くないから市場にもだすという。

母親から聞いていた苗代作りの取材。

人手がもっとあれば中断せずに済むが、「足らんもんやから日延べした。取材の話しは聞いている」と返してくれたのが嬉しい。

作業の邪魔にならないように状況を判断しながら撮らせていただく。

苗箱はすでに並べ終えていた。

その次はといえば幌掛けであろう。

そう思った通りの作業は細いヒゴ立てである。

青く塗ったヒゴを一本、一本を並べた苗箱の脇に挿していく。

泥田に挿すというのか、それとも立てるというのか聞きそびれた。

農具などを収納している納屋から白い幌を取り出して苗代田に移動する。

ここからは二人で行う共同作業。

幌を苗代田に被せるのは息があわないとできない。



幌に空気を溜め込むようにふわっと大きく広げて、そろっと下ろす。

幌が強風で飛ばされないように数か所に亘って泥土で抑える。

短い幌は端っこをヒゴに巻きこんでしまう。

もう一枚の幌も同じようにヒゴに巻きつけて重ね合わせる。

工夫を施す作業に感心する。



この白い幌はメッシュ製。

風を通してくれる。

他所でも白い幌を見かけるがメッシュ製は珍しい・・・のではと思った。

幌を被せていけば再び短いことが判った。

余っていた幌の部分をカマの刃で切り取ってその箇所を補うように継ぎ足した。

最後にヒゴを幌の上から抑えるように曲げていく。

これは幌自身が飛んでいかないようにするためだが、もう一つの作業がある。

時間はとうに昼を過ぎていた。

昼からでもといわれて一旦は解散。

なにをするかと云えば幌の一部が破損し空いている部分の補修だ。

その箇所は数か所。

ガムテームで貼りつけるという。

二人で作業した苗代田の苗箱はざっと数えて160枚。

苗箱換算でいけば200枚で一丁田の田になるから、それより若干少ない田んぼになるそうだ。

そして聞いた品種はヒノヒカリ。

奈良県推奨のヒノヒカリの勢いはつくばかり。

で、あるが、結局はイロバナを立てることはなかった。



イロバナを立てることはなかったUさんが話していたかつての苗代田。

2月初めに行われる飛鳥坐神社のオンダ祭がある。

そこでもらったかどうかは聞きそびれたが、模擬苗の松苗があるようだ。

それを「ナエノマツ」と呼んでいたUさんもかつては苗代を終えてからイロバナとともにナエノマツを立てていた。

(H28. 5. 3 EOS40D撮影)