マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

下山田の行事場

2016年11月15日 10時23分08秒 | 天理市へ
各地の民俗を採訪している写真家Kは奈良の民俗に興味を惹かれたようだ。

これまで拝見、取材してきた県内行事や風習のすべてを伝えたいと思って奈良県内の行事場を案内している。

下山田の植え初めはたったの1件しか見つからなかった。

しかも、だ。

肝心かなめの正月行事のオコナイでたばった祈祷札が見つからない。

祈祷札はごーさん札。ウルシ棒に挟んで祈祷される。

下山田で祈祷される場は2カ所。

東村垣内は薬師寺で広出垣内は地蔵寺で行われるが、未だに取材できていない。

未取材ではあるが、参列できなかった村人たちに盛って帰ってもらうように地蔵寺に残している。

五カ月経った今でもあれば、と思って車を走らせる。

その前に紹介してきたい場がある。



旧暦閏年に参拝されるうる庚申さん

向こうに見えるのが春日神社である。

その場を離れて広出垣内の地蔵寺に向かう。

そこにあったごーさん札は5本。



多めに作っているから余っていたのであろう。

地蔵寺境内に如意輪観音さんを安置した祠が建つ。



村の十九夜講の婦人たちが印しに吊っている「十九夜」の文字で判る。

この場で写真を撮っていたら軽トラが停まった。

前区長のNさんだ。

「あんたら二人は春日神社のところにいただろう」という。

そう、その場に間違いなくいた。

トイレも借りていたし、庚申さんも撮っていた。

つまりは見られていたのである。

顔馴染みもあるが、車馴染みもあって見つけられていたのだ。

ヘタなことができない村行事の探訪。

下山田だけでなく、他村においても往々にしてあること。

顔を覚えられていることは、いい意味での受け入れ。

ありがたいことである。

(H28. 5. 5 EOS40D撮影)

下山田の布団干し

2016年11月15日 10時17分03秒 | 民俗あれこれ(干す編)
ウエゾメの実施状況を採訪していた下山田。

田んぼから春日神社・薬師寺に向かおうとしていた。

曲がりかけた橋の欄干。

布目川支流に架かる橋に、だ。

お日さんの下で光を浴びた布団が干してあった。

天日干しはいわゆる虫干し。

ダニが死滅するかどうかは判らないが就寝時は心地よい。

我が家もそうしているが、狭い庭か、二階の窓を開けて瓦に垂らす窓干しだ。

田植えを済ませた田園は緑色。

空は澄み切った青空。

そこにあった布団は真っ白。

絶好の布団干し日和は第一に快晴。

第二は湿気が少なくて、そよ風が吹く日である。

快晴であっても風がなければ熱くなるだけだ。

心地よい風は流れていく景観に見惚れてシャッターを押す。

右、左。それとも中央。

ハイアングルかローアングル。

それとも身長に合わせた立ち見の高さ。

どれが相応しいのか、シャッター数は明らかに増えていく。

この月の末に発表されたインターワイヤード㈱の自社ネットリサーチを活用された「布団干し」アンケート結果がある。

それによれば「外干し」が断トツに多いらしい。

比率はなんと、なんとの54.8%。

2位は21.2%の「寝室の換気」。

3位が18.0%の「布団乾燥機」になるそうだ。

室内干し、除菌スプレー、流行りの掃除機、クリーニン屋さんなどさまざまな回答であるが、驚いたのは14.2%の「何もしていない」だ。

外干しをしない家もあるというアンケート結果をみれば、仕事で忙しくその手間がとれないとうのもあるようだが、花粉がつく、黄砂・PM2.5を理由にする結果もある。

アンケートにあったかどうか知らないが、テレビでくっさーい匂いを発するカメムシを取り上げていた。

たしかにそれはある。

干していた布団にくっついていたカメムシ。

それを知らずに屋内に取り込んで寝室に敷く。

寝ているときに気がつく臭い匂い。

もっと早くに気がつくでしょうに、と云いたいが・・・。

布団に限らず、座布団、衣服は手で軽くたたいてパン、パンする。

それで十分だと思っているのだが、世間のある一部の人たちはカメムシがついたらかなわんと云って干さない、というようなことであろう。

布団を干す景観はなんともいえない温かさを感じる。



敷地が広いところではカドボシ。

これもまた心地いい景観。

高層団地ではたぶんに無理だと思うが。

中層団地であればずらりとベランダに並んでいたら気持ちいいだろうなと思う。

奈良県に引っ越す前は大阪の市営住宅住まいだった。

鉄筋構造の5階建て。

我が家は2階だった。

南向きのベランダで干していた。

ずらりと並ぶ景観はなかったが、そこそこ干していた。

アンケートによればベランダ干しが圧倒的に多い70.0%。

集合住宅、戸建て住宅ともに、であるが、外に干せない回答も。

件数は不明だがベランダ干しが禁止されている処もあるらしい。



今回、拝見した下山田は農村。

橋の欄干は特例だとしても、家のカド干しが最適のようにみえる。

(H28. 5. 5 EOS40D撮影)

変貌する下山田の植え初め

2016年11月15日 09時32分38秒 | 天理市へ
主に民俗行事を取材している写真家Kに紹介したい地は天理市東部山間地にある山田町である。

山田町は上山田、中山田、下山田の三ケ大字に別れている。

特に植え初めが見られた地域は下山田。

これまで何度か訪問して植え初め記録をしてきた。

特に多いといったのは、なぜか上山田では見つからず、中山田も見なくなったのだ。

数年前に拝見した場は荒れていた。

年齢的なこともあってしなくなったのだろうか。

それとも時期的に早かったのか・・。

下山田も減少傾向にあった。

かつてはしていたという家で話しを聞いたことがある。

昨年に訪れた場も一カ所になっていた。

そのことは前区長のNさんが話してくれたが、今年はどうか・・・。

どこにも見当たらないのである。

ぐるっと周回して県道に出た下山田。

その角地の田に一人の男性が田んぼにおられた。

苗さんを手にして何本かを植えている。



サシナエの作業である。

田植えの機械が入れない田んぼの角地。

どうしても空白ができてしまう。

そこを補うためには人力しかない。

「ごーさん札・クリの木にフキダワラがある田んぼを探しているのですが・・・、最近は少なくなって、しかも昨年はあったあっちも今年は見られなくて・・」と伝えたら、「そこはこれまでしていた」というのだ。

奥さんが大病にかかって入院に手術。

そうした事情で今年はしていないという。

事情が判った植え初めの減少の一理由である。

そうであれば、もう一カ所。

昨年に訪れたときに出合った婦人は東村の婦人。

元気な婦人は70歳代。

今年もしているだろうと思って場を探す。

あった。



間違いなくそこにあったが、クリの木は見つかるがフキダワラが見つからない。

失念されたのだろうか。

その付近の田んぼにもかつてはあった。

昨年まではたしかにあったが・・・これも見つからない。



減少傾向どころか一カ所にしかなかった植え初め取材は諦めて、池面に映るキショウブの色合いを撮っていた。

そこは庚申さんの掛軸を拝見したである。

その家の前の地に挿してあった竹の棒。

一本・・・二本・・・竹の先が焦げている。

その痕跡はお盆の際に先祖さんことオショウライサンを迎えた印しではないだろうか。

もっとも送りであったかもしれないが・・・家の「民俗」がこうして見つかる。

(H28. 5. 5 EOS40D撮影)