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お気に入りの表現(7)ジェイムズ・クラムリー「友よ、戦いの果てに」早川書房から

2005-03-11 13:50:25 | お気に入りの表現
いままでに読んだ本やいま読みかけの本から、お気に入りの表現を拾い出そうと思っています。

 私立探偵C.W.シュグルーがベトナム戦争の戦友とともに暴力に立ち向かう。ストーリーは特筆するものでもない。数多くのミステリーを読んできて、アメリカ人作家の好きな季節が秋と言う人が多い印象を受ける。この人も例外でなく

 “若い男たちは、春が万物再生の季節だと思うようだが、胃袋にビールを溜め込み、尻が痛くなるような長旅に出る私の歳(中年)の男には、春はやがてしおれてゆく束の間の緑しか約束してくれない。花の咲き乱れる熱っぽい期待の季節はいつまでも続きはしないのだ。よく澄んだ暑い陽射しの秋、松の木の色合いに秘められた、到来する冬の気配…これだけは決して裏切られることのない約束である。冬が運んでくるものが、痛む骨や飢えたエルクや凍える子供たちであっても、とにかくいまはこの澄んだ青空がある。西モンタナの最良の季節だ”

 と言う。しかし、私は躍動感あふれる春が好きだ。