いままでに読んだ本やいま読みかけの本から、お気に入りの表現を拾い出そうと思っています。
ダン・オブライエン「黄金の眠る場所」心を落ち着かせ、幸せな気分にさせる文章で、人と自然の共存の描写は飽くことを知らない。
“いずれの方角からやってこようと、心の準備をする間もなく、土地の様子は変わる。東へ旅しているものは、ロッキー山脈の数千フィートの高さからはじめて大草原を目にする。岩だらけの山道を迂回してくると、いきなり松の木も、岩も、急流も姿を消してしまうのだ。眼下には、まだ五十マイル先のことだが、これ以上考えられないほど平坦で、穏やかで、樹木のない土地が広がっている。
西に旅していれば、インディアナ、イリノイ、アイオワの肥沃な黒土になれて、ミズリー川へ着くころは、手入れの行き届いた小さな森に囲まれ、きれいなペンキの塗られた富裕な農場の建物にでもお目にかかれるだろうという気になるが、その期待はことごとく裏切られる。いきなり、秩序が失われ、繁栄は雲散霧消するのだ。そしてどこからでも目につくはずなのに、こっちを眺めている者が一人もいないと感じるとき、北アメリカの大草原に来ているのである”
ダン・オブライエン「黄金の眠る場所」心を落ち着かせ、幸せな気分にさせる文章で、人と自然の共存の描写は飽くことを知らない。
“いずれの方角からやってこようと、心の準備をする間もなく、土地の様子は変わる。東へ旅しているものは、ロッキー山脈の数千フィートの高さからはじめて大草原を目にする。岩だらけの山道を迂回してくると、いきなり松の木も、岩も、急流も姿を消してしまうのだ。眼下には、まだ五十マイル先のことだが、これ以上考えられないほど平坦で、穏やかで、樹木のない土地が広がっている。
西に旅していれば、インディアナ、イリノイ、アイオワの肥沃な黒土になれて、ミズリー川へ着くころは、手入れの行き届いた小さな森に囲まれ、きれいなペンキの塗られた富裕な農場の建物にでもお目にかかれるだろうという気になるが、その期待はことごとく裏切られる。いきなり、秩序が失われ、繁栄は雲散霧消するのだ。そしてどこからでも目につくはずなのに、こっちを眺めている者が一人もいないと感じるとき、北アメリカの大草原に来ているのである”