たそがれ時から翌朝までの10時間に起こるクールなドラマで、ラヴ・シーンやセックス・シーンがない。いまどき珍しい。ほとんどロケーション撮影で、LAの町並みを楽しめる。音楽も画面にぴったりの情感が漂う。
グレイ・ヘアとやや伸びすぎたあごひげが見え、グレイのスーツにダークグレイのネクタイのトム・クルーズの殺し屋ヴィンセント。乗務を引き継いでハンドル周りを拭くきれい好きのジェイミー・フォックスのタクシー・ドライバーマックス。
殺し屋のヴィンセントは、麻薬組織の依頼で5人を消すことを請け負う。それに巻き込まれるマックス。LAの夜を背景に、二人の男の出会いから別れまで、緊張感とエンタテイメントをうまく交錯させながら、哀歓を漂わせている作品になったと思う。
いくつか印象的な場面がある。
その1
「黒人の女性検事アニーを送り届けて、車の中での会話は、男と女の心が通うさまが、まざまざと描かれる。アニー役のジェイダ・ピンケット=スミスは、首から上だけのショットなのにほのかな色気を感じさせて、やや興奮気味になる。私生活ではウィル・スミスが夫」
その2
ジャズ・クラブで、トランペット・プレイヤーでオーナーの男(この男も標的の一人)がいう。「入ってきたのは、マイルス・デイビスだよ。この地球上で誰よりもクールな男だ。コロンビア・スタジオで録音の仕事を済ませて店に入ってきた。次の瞬間ステージでジャム・セッションを始めたよ。鳥肌が立った。彼の集中力ときたら、その上近づき難かった。気安く話しかける相手じゃない。くつろいでるように見えてもね。ある晩若いカップルが近づいて握手を求めた“ハーイ、僕の名は…”マイルスは言った。“そのブス女と、とっとと消えろ”それがマイルスって男だ。彼の頭に中はいつも音楽で一杯だった」どうやらこのエピソードは実話のようだ。このシーンは皮肉を利かせてあるように思う。白人のヴィンセントがジャズに陶酔している半面、黒人のマックスはジャズのことはよく分からないという。
その3
マックスは、ヴィンセントが持っているブリーフケースを、フリーウェイに放り投げ粉々に砕ける。その中には標的の資料がノートパソコンに収録されていた。ヴィンセントは組織のボスに会って資料をもらわなくてはならない。その仕事をマックスに押し付ける。もともとヴィンセントの顔もボスは知らない。失敗すればマックスの命はない。ボスはうじうじと資料の紛失にけちをつけ始める。マックスも最初は殊勝に聞いていたが、開き直って啖呵を切る。これがなかなか堂に入っていてボスも折れて資料を出す。
マックス“後ろにいる男に言うんだ.銃を下ろせと”
“何だと”とボス。
マックス“銃を下ろさなかったら、蹴り上げて殺してやる”
“尾けられた”とマックスが言うと
“FBI”とボス。
“こっちが聞きたい、だから川に捨てた。貴重なリストをね。洒落たエルメスなんか着込んだお 前のケツを守るためにな。手違いはあるさ、適応するしかない。ダーウィンの法則だ。デブ、金 持ち、ジャズ・プレイヤー残りは二人”
ボス“消せるのか”“この6年間、俺が失敗したか?”
きれい好きで気弱なマックスが、生死を分けた局面で男の意地を見せたという思いで一杯になる。
トム・クルーズは、「七月四日に生まれて」でアカデミー賞にノミネート。ジェイミー・フォックスは04年度の「レイ」で主演男優賞を受賞した。トム・クルーズは銃の扱いを3ヶ月も特訓したそうだ。銃撃の場面が鮮やかだったのもうなずける。また、敏捷な動きも年齢を感じさせない。ジェイミー・フォックスも役どころを掴んでいい味を出している。
「allcinemaonline」というサイトがある。そこのユーザーコメントは、殆どの人に好評といったところ。お暇なときに覗いてみてはいかがでしょうか。allcinemaonline
グレイ・ヘアとやや伸びすぎたあごひげが見え、グレイのスーツにダークグレイのネクタイのトム・クルーズの殺し屋ヴィンセント。乗務を引き継いでハンドル周りを拭くきれい好きのジェイミー・フォックスのタクシー・ドライバーマックス。
殺し屋のヴィンセントは、麻薬組織の依頼で5人を消すことを請け負う。それに巻き込まれるマックス。LAの夜を背景に、二人の男の出会いから別れまで、緊張感とエンタテイメントをうまく交錯させながら、哀歓を漂わせている作品になったと思う。
いくつか印象的な場面がある。
その1
「黒人の女性検事アニーを送り届けて、車の中での会話は、男と女の心が通うさまが、まざまざと描かれる。アニー役のジェイダ・ピンケット=スミスは、首から上だけのショットなのにほのかな色気を感じさせて、やや興奮気味になる。私生活ではウィル・スミスが夫」
その2
ジャズ・クラブで、トランペット・プレイヤーでオーナーの男(この男も標的の一人)がいう。「入ってきたのは、マイルス・デイビスだよ。この地球上で誰よりもクールな男だ。コロンビア・スタジオで録音の仕事を済ませて店に入ってきた。次の瞬間ステージでジャム・セッションを始めたよ。鳥肌が立った。彼の集中力ときたら、その上近づき難かった。気安く話しかける相手じゃない。くつろいでるように見えてもね。ある晩若いカップルが近づいて握手を求めた“ハーイ、僕の名は…”マイルスは言った。“そのブス女と、とっとと消えろ”それがマイルスって男だ。彼の頭に中はいつも音楽で一杯だった」どうやらこのエピソードは実話のようだ。このシーンは皮肉を利かせてあるように思う。白人のヴィンセントがジャズに陶酔している半面、黒人のマックスはジャズのことはよく分からないという。
その3
マックスは、ヴィンセントが持っているブリーフケースを、フリーウェイに放り投げ粉々に砕ける。その中には標的の資料がノートパソコンに収録されていた。ヴィンセントは組織のボスに会って資料をもらわなくてはならない。その仕事をマックスに押し付ける。もともとヴィンセントの顔もボスは知らない。失敗すればマックスの命はない。ボスはうじうじと資料の紛失にけちをつけ始める。マックスも最初は殊勝に聞いていたが、開き直って啖呵を切る。これがなかなか堂に入っていてボスも折れて資料を出す。
マックス“後ろにいる男に言うんだ.銃を下ろせと”
“何だと”とボス。
マックス“銃を下ろさなかったら、蹴り上げて殺してやる”
“尾けられた”とマックスが言うと
“FBI”とボス。
“こっちが聞きたい、だから川に捨てた。貴重なリストをね。洒落たエルメスなんか着込んだお 前のケツを守るためにな。手違いはあるさ、適応するしかない。ダーウィンの法則だ。デブ、金 持ち、ジャズ・プレイヤー残りは二人”
ボス“消せるのか”“この6年間、俺が失敗したか?”
きれい好きで気弱なマックスが、生死を分けた局面で男の意地を見せたという思いで一杯になる。
トム・クルーズは、「七月四日に生まれて」でアカデミー賞にノミネート。ジェイミー・フォックスは04年度の「レイ」で主演男優賞を受賞した。トム・クルーズは銃の扱いを3ヶ月も特訓したそうだ。銃撃の場面が鮮やかだったのもうなずける。また、敏捷な動きも年齢を感じさせない。ジェイミー・フォックスも役どころを掴んでいい味を出している。
「allcinemaonline」というサイトがある。そこのユーザーコメントは、殆どの人に好評といったところ。お暇なときに覗いてみてはいかがでしょうか。allcinemaonline