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読書 トマス・H・クック「孤独な鳥がうたうとき」

2006-06-21 12:32:49 | 読書
 私にとってトマス・H・クックの作品の中で、「緋色の記憶」が忘れることの出来ない一冊となっている。老境に入ったヘンリーの回想の中に出てくる、ミス・チャニングの魅力に圧倒されてしまった。
               
 この「孤独な鳥がうたうとき」はそれとは全く違いエンターテイメント性も加えたものになっている。第一部から第五部までスタンダード・ナンバーのタイトルになっている。例えば第五部は、サムワン・トウ・ウォッチ・オーヴァー・ミー。
               
 息子の嫁セーラが家出する。義父のレオ・ラブリオーラの逆鱗に触れ、なんとしても探し出してやるといって、手下のカルーソに指示する。
 このレオは単なる高利貸しのクセに、いっぱしのギャング気取りで、筋肉質の大きな体で怒鳴り散らして相手に恐怖感を与えるという男だ。

 息子のトニーは、対照的に静かな男。この二人をめぐってカルーソ、人探し専門の探偵スターク、そのスタークに仲介するガンで余命3ヶ月のモーティマー、元ジャズ・ピアニストの酒場のオーナーエイブ・モーゲンスターンたちがそれぞれの人生の中で気を揉む窮地に立たされて、レオ意外の人間がハッピーな気分になるというもの。
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