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読書 田中森一「反転」

2007-09-11 14:38:27 | 読書

              
 今書店で目立つところに置いてあるノンフィクション。図書館でこの「反転」を検索するとリクエストが長蛇の列になっていた。いつ読めるか分からないので、手に入れてみた。
 一言で言えば、そんじょそこらのフィクションとは比べ物にならないほど興味深く、日本社会の裏側を覗いた気がする。
 凄腕検事が敏腕弁護士に転身して覗いた裏社会とそれにからめとられて詐欺罪懲役三年の判決を受けるまでを反省も込めて語られる。

 政治家、銀行家、それに検察や警察に加え裏社会のヤクザに至るまで、突き詰めれば同じ穴の狢(むじな)だった。この田中森一という人の半生記で意外な裏話が、ぞくぞく出てくる。その中で思いもしないことが書かれてあった。

「ヤクザは刺青のせいで皮膚呼吸ができず、肝臓を悪くしているケースが多い」全身に刺青をするとこういうことになるのだろう。
 山口組のNo2と言われた宅見組長も肝臓疾患を抱えていて、外為法違反事件で略式起訴になって終結、そのあと休養も兼ねて病院に入ったがマスコミの二十四時間監視にあい、海外の病院でと言うことになった。
 そのときに頼ったのが故安部晋太郎、安部総理の父だった。安部晋太郎は細かいことは聞かず駐仏日本大使を通じて手配されたという裏話。

 全体として非常に人間臭く、表社会も裏社会も人間の業(ごう)をさらしている。著者は、1943年、長崎県生れ。岡山大学法文学部在学中に司法試験合格。71年検事任官。大阪地検などを経て東京地検特捜部で撚糸工連汚職、平和相互銀行不正融資事件、三菱重工CB事件などを担当。87年弁護士に転身、2000年石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で東京地検に逮捕、起訴される。