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読書 ポール・リンゼイ「応酬」

2008-04-10 10:47:06 | 読書

               
 交通事故による深い傷を顔に持っていた。水平に走る二本の長くて薄い傷跡に向かって皮膚が陥没している。一本の傷は髪の生えぎわぞい、もう一本は目のすぐ下にあリ、そこが溶けた蝋で出来たような印象を与える。
 ヴァンコーは人々の目に好奇と恐れを同時に浮かぶのを何度となく見てきた。その顔をまともに見て何の感情も表さないシーラ捜査官や一癖あるほかの捜査官たちで構成されるFBI組織犯罪捜査班。
 その捜査班や敵対するマフィアのファミリーのサイドストーリーが重なりながら収斂していく。マフィアをこんなに面白味を出して描いてあるのも珍しい。
 何しろキャンプをするんだから。しかもボーイスカウトたちとも仲良くなる。それというのも古い地図を頼りに巨万と富を探そうというわけだった。最後の予想外のオチににやりとする。
 著者は、シカゴ生まれ。現役FBI捜査官のときに発表した『目撃』でデビュー。NYタイムズ・ブックレビュー紙上でパトリシア・コーンウェルが「妻を愛し、自己の信念に忠実に生きる特別捜査官デヴリンは、さわやかなヒーローだ」と絶賛。デヴリン捜査官シリーズの続編として『宿敵』『殺戮』を上梓。他の著書にやはりFBI捜査官が主人公の『覇者』『鉄槌』がある。
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