名無しの探偵シリーズ二十四作目。正直言って退屈した作品だった。元私立探偵のパートナーだったエバハートが胸に銃弾を撃ち込んで自殺する。名無しの探偵わたしは、自殺の原因が気になり調べ始める。
一方アイラ・アースキンというコンサルタント会社経営の男から失踪した妻を捜す依頼を受ける。このアースキンも、モーテルで死んでいるのが発見され、警察は拳銃自殺と考えている。
名無しの探偵わたしが調べていくと、この二人の男はいずれもDV(ドメスティックバイオレンス)の加害者で、妻に対する暴力を振るうという残忍性を持っていた。そして二つの事件とも元妻が引き金を引いていた。
ここで名無しの探偵わたしは悩む。元妻たちの置かれていた状況を理解すると法に忠実に従い司法にゆだねるか、あるいは良心に従うか。名無しの探偵わたしは、己の良心に従って胸の内に収めることにした。
著者は、1943年カリフォルニア州生まれ。さまざまな職業を経ながら作家を目指し、名無しの探偵シリーズのほか多数の著作がある。