第9話「安らかな眠りを」安楽死をめぐる論争。医師が被告として裁かれる。本人や家族の承諾のもとに、過剰なモルヒネ注射よるものだった。日本の法律も安楽死を認めていない。刑法上殺人罪の対象になる。
昭和37年(1962年)名古屋高裁の判例により6つの要件を満たさない場合は違法行為となる。
その要件は、
1,死期が切迫していること
2.耐え難い肉体的な苦痛が存在すること
3.苦痛の除去・緩和が目的であること
4.患者が意思表示していること
5.医師が行うこと
6.倫理的妥当な方法で行われること。
この法廷でも同じような要件について検事補ヘレン(ララ・フリン・ボイル)とボビーの激しいやり取りが交わされる。
最終弁論でヘレンは「患者の本当の気持ちは、死を望んではいない。周囲に対する遠慮が死を決意させる。自殺や自殺幇助に値する。それらを増やしてはならない」自身の祖母との最後の別れの数日を語る。
ボビーも自身が父親に行った延命装置のスイッチを切る行為を告白して、今でも後悔していないという弁論とともに安楽死の必要性を訴えた。評決は有罪だった。ただ、ヘレンから10時間の社会奉仕で、服役なしと告げられほっとする。
評決は妥当なものだった。何しろ法を犯したことに変わりないし非拘留という温情も見せていることだからだ。この安楽死を安易に認めると無制限な広がりが懸念される。ただ、苦痛のない最期は、真剣に議論の必要はあるだろう。
第10話「我らの流儀」法律事務所に仲間割れの危機が迫る。エレノアとリンジーは、けちなポン引きの事件を担当していた。リンジーがエレベーターの中で話しかけられた男が言った「無罪だ」の言葉に緊張が走った。その男は陪審員だった。
弁護士は一切陪審員と接触が禁じられている。もし、そういう事態があれば、速やかに判事に報告する義務があった。エレノアは、審理も終っているということでダンマリを決め込む。 ところが、検事から6ヶ月の取引を持ちかけられる。さて、どうするか。エレノアは、ポン引きに検事の話しをして受け入れなければ無罪評決を知っていたことになるし、受け入れたときどうするかが問題だった。
ポン引きは考えた末、その取引を受け入れた。リンジーが事情を説明した。無罪評決が出ると知ったポン引きは、二人の弁護士を説得してなんと犯罪者を含めて白を切るという暴挙に出た。しかし、評決は有罪だった。
貴重な教訓ルールを守れ。エレノアとリンジーは、担当判事に事情を説明したが、判事は資格剥奪の申請をするという。落ち込む二人。それを知ったボビーは、怒り狂った。
しかし、エレノアも負けていなかった。ボビーは名誉を口にしたが、そんなものこの事務所にある? 手段を選ばない弁護活動、名誉のかけらもないではないか? 事務所は険悪な空気に包まれる。
第9話「安らかな眠りを」で検事補役のララ・フリン・ボイルは、1970年3月アイオア生まれ。デビッド・リンチの’90~’91「ツィンビークス」のドナ役でブレイク。ここでも繊細な演技を見せている。
ボビー・ドネル(ディラン・マクダーモット)
ジミー・バルッティ(マイケル・バダルコ)
レベッカ・ワシントン(リサ・ゲイ・ハミルトン)
ユージン・ヤング(スティーヴ・ハリス)
エレノア・フラット(カムリン・マンハイム)
リンジー・ドール(ケリー・ウィリアムズ)