今まで海外テレビドラマに関心を持たなかったが、これを観て結構面白く眠くもならなかった。私は法廷ドラマが好きで、好んで観ている。
何が面白いかと言えば、検察側と弁護士側の攻防、とりわけそのセリフに興味がある。検察の執拗な攻撃に、弁護士がどのように応じるのか? はなはだ興味深い。
このドラマも大手の法律事務所が舞台ではない。事務所の家賃も滞納しているような小さな法律事務所の弁護士が演じる人間ドラマだ。
事件が法廷で争われるからと言って、公明正大なものになるとは限らない。検察と刑期の取引は、最たるものでこれが弁護士の心を大きく揺さぶってくる。
第1話「罪なき被告人」は、少女がコカインを隠し持っていたとして起訴され、検察の刑期10ヶ月の提案を少女に承諾させねばならない。
200グラム以上の所持は販売目的とされ刑が重くなって15年は確実。勝つことは無理だ。それでも少女は納得せず法廷で争うことになる。
圧巻は最終弁論で、陪審員の心を掴んだ弁護側の勝利に終る。大げさでなく感動的な場面に思わず涙ぐむ。
面白いのは、本来検察の提案を依頼人に納得させるのも弁護士の力量と見られえていることだ。それに、弁護士が指を相手にさして話をしたとき、女性判事が「指をささないで!」とたしなめる。今度は判事が弁護士に指をさしたとき、弁護士の「指をさしてる」の返事が「判事はいいの」と応酬してにやりとさせられる。
第2話「「失意のロビンフッド」は、元夫から部屋を荒らされたり電話で脅されるが、裁判所は何も出来ない。元夫は狡猾で法のギリギリを攻めてくる。
そうこうするうちに、一人息子の少年が脅しに来た元夫を刺殺する。母を守るための正当防衛を主張することになるが、検察はある犯罪者の刑期6年の約束を10年の司法取引を持ちかけてくる。
その犯罪者に10年を飲ませ、正当防衛で少年を救った。が、弁護士の心は晴れない。司法の現場では日常茶飯のごとくこのような取引が行われている。検察官の成果や弁護士の勝訴の数が人生を決めるからだ。
もし、私たちがいわれのない疑いでその渦中に放り込まれたらと思うと背筋が寒くなる。このドラマの製作総指揮を担当しているのは、デイビッド・E・ケリー1956年4月メイン州ウォーターヴィル生まれ。ボストンで弁護士をしていた。1986年~1994年のテレビ・ドラマ「LA LAW/7人の弁護士」、1994年~2000年「シカゴホープ」、1997年~1998年「アリーmyラブ」、2004年から「ボストン・リーガル」を手がける。
主な出演者は、ディラン・マクダーモット(ボビー・ドネル)法律事務所の代表。1961年10月コネチカット州ウォーターベリー生まれ。’87「ハンバーガー・ヒル」で映画デビュー、’93「シークレット・サービス」でクリント・イーストウッドの相棒を務める。
マイケル・バダルコ(ジミー・バルッティ)1954年12月ニューヨーク、ブルックリンにまれ、ボビーの友人で銀行員。のちにボビーの事務所で働くことになるが。
リサ・ゲイ・ハミルトン(レベッカ・ワシントン)1964年3月カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ、事務員。
スティーヴ・ハリス(ユージン・ヤング)1965年12月イリノイ州シカゴ生まれ、弁護士。
カムリン・マンハイム(エレノア・フラット)1961年3月ニュージャージー州キャルドウェル生まれ、弁護士。
ケリー・ウィリアムズ(リンジー・ドール)1970年6月カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ、弁護士。