
砂漠の潅木の中で大型キャンピング・カーの車軸をとったような小屋が爆発炎上する。焼け跡から発見されたのは、男女が抱き合ったままの死体だった。物語のすべてがここから始まる。
女はトラックドライバーの妻ジーナ(キム・ベイシンガー)で乳がんの手術で、乳房がない。夫はそんな妻を愛せないのかもしれなかった。
その娘マリアーナ(ジェニファ・ローレンス)と男の息子サンチャゴ(J・D・パルド)が恋仲となる。そして妊娠する。
シルヴィア(シャリーズ・セロン)は、レストランのマネージャーの職にある。このシルヴィア、ゆきずりの男に平気で体を与える。彼女には忌まわしい記憶が頭から離れない。時間軸を交互に挟みながらやがて一本の糸に収束する。
ミステリアスな雰囲気で描写されるが、辻褄の合わないところや小屋の爆発にしてもやや無理な状況設定に思われるところもある。この映画のテーマは何なのかいまひとつハッキリしない。
シルヴィアの性癖にしても、小屋の爆発のトラウマだけで説明できるのか。安直に思えてならない。それにシャリーズ・セロンに乳首が浮き上がる衣装を着せて、観客をひきつけようとする魂胆が嫌味に思える。
それより、若手の俳優ジェニファ・ローレンスとJ・D・パルドがよかった。今後この俳優たちがどんな活躍を見せるか注目したい。




監督
ギジェルモ・アリアガ1958年3月メキシコシティ生まれ。もともと脚本家で、’03「21グラム」などがあり、この作品は初監督で勿論脚本も書いている。

キャスト
シャリーズ・セロン1975年8月南アフリカ生まれ。’03「モンスター」でアカデミー主演女優賞を受賞。
キム・ベイシンガー1953年12月ジョージア州アシンズ生まれ。(97「LAコンフィデンシャル」でアカデミー助演女優賞受賞。
ジェニファ・ローレンス1990年8月ケンタッキー州ルイヴィル生まれ。
J・D・パルド1980年9月カリフォルニア州パノラスシティ生まれ。