
検察官が気にするのは、起訴した事件の有罪率だ。当然といえば当然で、これを無視する検察官はいないだろう。しかし、それにあまりにもこだわったりすると、証拠能力に自信がなければ司法取引で裁判の負けを回避するという手段をとる。
家族団欒の夜、いきなり野球のバットを持った二人の強盗に襲われた。クライド(ジェラルド・バトラー)は、太った年嵩の男ダービー(クリスチャン・シュトルテ)に腹を刺されるが、一命と取り留める。
しかし、目の前で妻はレイプのうえ殺され、部屋から出てきた娘も殺される。すべてダービーの行為で、仲間のエイムス(ジョッシュ・スチュワート)は、やめろ! と叫んでいた。
やがて犯人は逮捕され裁判になるが、警察の捜査が不十分で証拠に瑕疵があり、検察官のニック(ジェイミー・フォックス)は司法取引に持ち込む。結果は、ダービーの証言ですべてエイムスに押し付けられ死刑、ダービーは短い禁固刑となった。
どうしても納得のいかないクライド。正義はどこへ行ったのか? その10年後、エイムスが犯してもいない罪で死刑を執行されていた。三種類の薬物が注入される。苦しみもなく穏やかに死を迎えるはずだった。が、突然体が飛び上がるような動きが激しくなり得体の知れない苦しみが襲い掛かる。それも唐突に終って死亡する。うろたえる検察官たち。
そしておぞましいダービーの惨殺死体の発見。建物の所有者から割り出したクライドを逮捕する。クライドは司法に挑戦的な態度を続け、同房の囚人を殺したことから、独房に放り込まれる。それでも、司法関係者が殺され続ける。さて、一体クライドは何者なのか?
正義を失った司法に果敢に挑戦するという新しい視点からサスペンスを盛り上げていく。久しぶりに時間を忘れる映画だった。これ以上話すとネタバレになるからこれくらいに。見て損のない映画だ。







監督
F・ゲイリー・グレイ1969年7月ニューヨーク生まれ。
キャスト
ジェイミー・フォックス1967年12月テキサス州テレル生まれ。‘04「Ray/
レイ」でアカデミー主演男優賞受賞。
ジェラルド・バトラー1969年11月イギリス/スコットランド、グラスゴー生まれ。‘04「オペラ座の怪人」’08「幸せの1ページ」など
クリスチャン・シュトルテ1962年10月ミズリー州セントルイス生まれ。
ジョッシュ・スチュワート1977年2月ウェストヴァージニア州ダイナ生まれ。