誰にでもある二面性。極端な形で出てくる殺人依存症の男。人間誰しも悪魔の部分を抱えている。でないと、犯罪映画や小説が作られ多くの人が好んで観たり読むという事象の説明がつかない。
事業に成功して富と地位を確立したMr.ブルックス(ケビン・コスナー)の別の顔がシリアルキラーだった。殺人によるエクスタシーから逃れるには自身の抹殺しかないと思うブルックスではあるが、内なる声マーシャル(ウィリアム・ハート)〕が画面に現れ殺人をけしかけてくる。
そして、事件を追うトレーシー刑事(デミ・ムーア)。少し物足りない印象だった。実業家のMr.ブルックスは、ケビン・コスナーにぴったりだが、シリアルキラーには無理がある。
シリアルキラーの殺人場面は、控え目な表現でいまひとつ殺人者の内面が出ていなかったように思う。一方刑事のデミ・ムーアもやつれた感じで、犯人を挙げる刑事にしては迫力に欠ける。
これを劇場で観ていれば、料金が高いと感じたかもしれない。テーマは面白いと思うから、描き方によってはスリルとサスペンスのあるバイオレンスになっただろう。
監督
ブルース・A・エヴァンス1946年9月カリフォルニア州ロングビーチ生まれ。’86「スタンド・バイ・ミー」の脚本を書き、本作は二度目の監督作品。
キャスト
ケビン・コスナー1955年1月カリフォルニア州リンウッド生まれ。’90「ダンス・ウィズ・ウルブズ」でアカデミー作品・監督賞を受賞。しかし、俳優としての受賞はない。デミ・ムーア1962年11月ニューメキシコ州ロズウェル生まれ。
ウィリアム・ハート1950年3月ワシントンDC生まれ。