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白人と接する二つの顔を持ち7人の大統領に仕えた男の物語「大統領の執事の涙’13」

2014-09-11 18:04:28 | 映画

              
 人種差別の壁を乗り越えようとしているアメリカの苦悶が男の一家を通じて描かれる。

 セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)が少年の頃、白人の青年に銃で父親が射殺された不幸が綿花畑のプランテーションを出るきっかけとなる。 レストランやホテルのバーでの先輩の教えは「客の目を見て何が望みか察しろ。相手の心を読め、察するんだ。セシル、二つの顔を持て。本当の顔と白人に見せる顔だ。出世したけりゃ 白人を怯えさせないとだ。教えてやった上品な言葉で話せ。北部の白人は気の利いた黒人がお好みなんだ」

 1957年先輩の言葉を胸に秘めてワシントンD、Cに向かった。ホワイトハウスで20年を勤めるセシル。

 その間、奴隷開放があっても水のみ場やトイレ、ダイナーなど白人用と黒人用が区別される時代が続く。やがて公民権運動が芽生えるが、その流れの中でセシル一家も翻弄される。

 若い息子たちは先鋭的になりやすい。残業の多いセシルと妻グロリア(オプラ・ウィンフリー)の間もギクシャクしてくる。どこにでもある家庭の問題の背景に、時の政権や世相の様子が描きこまれる。

 フォレスト・ウィテカーの独り舞台の感があるが、亡くなったロビン・ウィリアムズがドワイト・アイゼンハワー、ジョン・キューザックがリチャード・ニクソン。
 こんな場面がある。ニクソンが酔っ払ってソファにうずくまっている。そこへセシルが入っていき「御用はございませんか?」と言う。まあ座れと言いそして「辞任だ何だと言うが、俺は絶対 辞めんからな。逆境をはねかえしてやる」と言う。

 これなんか1972年6月の「ウォーターゲート事件」を知らないと何のことがさっぱり分からない。この映画はアメリカ人向きということ。輸出まで考えていない。

 ジェームズ・マースデンのジョン・F・ケネディ。娘のキャロラインも出てくる。駐日アメリカ大使のキャロライン・ケネディが観たらどんな感想を持つだろう。ふと、そんなことを考えた。

 アラン・リックマンのロナルド・レーガン。髪型と話し方はよく似ていた。大統領とセシルの小さなエピソードも差し挟まれている。

 テレビや映画の影響は甚大で、アメリカの若者もこういう映画から自国の歴史を学び始めるきっかけになるのかもしれない。それはそれでいいことだろう。しかし、最近のニュースからは、まだまだ差別問題は尾をひいているようだ。劇場公開2014年2月
          
          

監督
リー・ダニエルズ1959年12月ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。

キャスト
フォレスト・ウィテカー1961年7月テキサス州ロングビュー生まれ。
オプラ・ウィンフリー1954年1月ミシシッピー州生まれ。
ジョン・キューザック1966年6月イリノイ州生まれ。
ジェームズ・マースデン1973年9月オクラホマ州生まれ。
アラン・リックマン1946年2月イギリス、ロンドン生まれ。
リーヴ・シュレイバー1967年10月カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
ロビン・ウィリアムズ1951年7月イリノイ州シカゴ生まれ。
ジェーン・フォンダ1937年12月ニューヨーク生まれ。
テレンス・ハワード1969年3月シカゴ生まれ。
ヴァネッサ・レッドグレーヴ1937年1月イギリス、ロンドン生まれ。
コメント
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