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心が洗われるような爽やかな印象の映画「セイフヘイブンSAFE HAVEN’13」

2015-03-07 16:51:15 | 映画

              
 有名な俳優は出ていないが、風景とともにそこに住みたくなるという居心地の良さに浸れる。この映画の主人公ケイティ(ジュリアン・ハフ)も同じ気持ちなのか、レストランのウェイトレスの仕事を見つけて森の中のキャビンに住みつく。このケイティは、夫のシカゴ市警の刑事ケヴィン(デヴィッド・ライオンズ)に追われていて身を隠す必要があった。ケヴィンは、暴力亭主であまりの激しさに包丁で傷を負わせ隣家に逃げ込み、夜行バスでシカゴからここノースカロライナ州の港町サウスポート迄たどり着いた。

 妻を癌で亡くし二人の子供と叔父とともに小さな雑貨店を営むアレックス(ジョシュ・デュアメル)との出会いが彼女の運命を決める。そしてもう一人近くに住む女性ジョー(コビー・スマルダーズ)とも友達になっていく。

 執拗に妻を追うケヴィンは、妻を全国指名手配までする。これには署長も許されない行為として停職を命じる。怒りなのか嫉妬なのか狂ったケヴィンは、万難を排してサウスポートに姿を表す。結局、最後は拳銃の暴発でケヴィンは死亡、ハッピーエンドとなる。

 その最後がすばらしい幕切れだった。というのも、アレックスが「To her」と書いた手紙をケイティに手渡す。その内容は、癌でなくなったアレックスの妻ジョーからの新しいアレックスの妻に送る感謝と励ましの言葉だった。

 思いもよらない発想だった。いかにジョーが素敵な女性だったかと分かると同時にアレックスが選んだケイティもそれに倍する女性だった。ジョーへの思慕に重ねるには、ジョー以上の女性が必要だったからだ。

 ケイティと友達になったジョーがまさにアレックスの妻だった。死人が現われてきたというおどろおどろしいものを感じるかもしれないが、そこは物語る上での真意の説明と受け止めたらいい。

 それにしても、自分が死んだあとのために、こういう手紙を残せるというのは素晴らしいことに思える。夫あるいは妻を心から愛していないと出来ることではないだろう。そういう人が何人いるのだろう。

 この映画に出ている俳優一人で観客を集める力は今はないが、女性はキレイだし男性も有名俳優と見劣りしない。ケイティ役のジュリアン・ハフは、いかにもヤンキー娘という感じだし、ジョー役のコビー・スマルダーズは、知的な雰囲気がよかった。
 暴力刑事をやったデヴィッド・ライオンズも独特の風貌で興味をそそられた。美味しい料理とワインのあとで、上質のコーヒーの香りを楽しむような豊かな気分にさせてくれた。
           
           
           
           
           
           

映画の雰囲気をどうぞ!
        
監督
ラッセ・ハルストレム1946年6月スウェーデン、ストックホルム生まれ。

キャスト
ジョシュ・デュアメル1972年11月ノースダコタ州生まれ。
ジュリアン・ハフ1988年7月ユタ州ソルトレイクシティ生まれ。
コビー・スマルダーズ1982年4月カナダ、ブリティッシュコロンビア生まれ。
デヴィッド・ライオンズ1976年4月オーストラリア、メルボルン生まれ。
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シェールガス採掘権を買いあさるグローバル社の驚くべき姦計「プロミスト・ランド’12」

2015-03-07 16:33:53 | 映画

               
 1兆円規模の大企業グローバル社はシェールガスの採掘権買占めを目論み、幹部候補生のスティーブ(マット・デイモン)とパートナーのスー(フランシス・マクドーマンド)を農業の町マッキンリーへ派遣する。

 観ていてマッキンリーという村のたたずまいが、建物こそ違うが日本の山間にある集落を思い出させてくれる。もうそれだけでこの映画にのめりこんでしまった。しかも車は古い4WDのマニュアル車、それに着るものはスーツなんて洒落たものは逆効果。フランネルのシャツを着て地元に溶け込む。

 スティーブ自身がアイオワの片田舎出身で、高校生の頃地元にあったキャタピラー社の撤退で町が寂れてしまった経験を持つ。そこで彼は、シェールガスの採掘権の買い上げは「再生への唯一の道」という信念の持ち主だった。

 最初は順調だった。個別訪問が成果を挙げていた。しかし、事態は思わぬ方向へと傾き始める。地元の高校で教鞭をとるフランク(ハル・ホルブルック)の論理的な反論の壁と環境保護団体を標榜するダスティン(ジョン・クラシンスキー)の反対運動が功を奏しつつあった。
 
 フランクは、マサチューセッツ工科大学出身でボーイング社にも勤めた経験があり手強い相手だった。事は思うように進まない。最初の夜にバーで出会った教師のアリス(ローズマリー・デウィット)までダスティンに取られてしまうというていたらく。

 フランクの家で深刻な表情のスティーブを見かねて、フランクは励ましの言葉とともに「君は金を提示して助けてるつもりだろう。私らを。だが私らは見返りに足下の土地を枯れさせる。土地すら失ったらその後はどうなる?」と呟く。

 その夜モーテルに帰ったときフロントから差出人グローバル本社の封筒を手渡された。(ここからはネタバレ)この中に一枚の写真があって、それが環境保護団体の捏造を示すものだった。

 光明がさした。ところがダスティンの言葉は、驚くべき真実だった。つまりダスティンもグローバル社の社員で、巧妙に仕組まれた罠にはまったのがスティーブということになる。会社側は住民の水質汚染などの危惧を先取りして、捏造説で磐石のセールス展開を目論んだというものだろう。

 ここでスティーブが選ぶ道は二つに一つ。会社に忠実に従うか、良心に従うか。スティーブは良心を選んだ。当然クビ。
 スティーブは自ら選んだ道を歩むことになり、祖父から受け継いだ土地を守るアリスのドアを叩いた。

 実際にこういう狡猾で汚い手を大企業が使うのだろうか。使うかもしれないし使わないかもしれない。判然としない。ただ、時々出てくるセリフに「1兆円の企業だぞ!」がある。暗に脅しを表している。これは如実に大企業の腹の奥底といえるのだろう。下請け企業の立場から見ればよく分かる筈。

 映画としては爽やかで後味のいいものだったが、家庭を持っている場合スティーブのような選択が出来たのか。現実にはかなり難しい気がする。とはいっても一見の価値はある。

 いつも思うのは、この映画に限らず小説でも実名の企業や大学が出てくる。この映画の場合、フランクの経歴マサチューセッツ工科大学とボーイングは実在する。この辺のところのものの考え方が私には見えてこない。推測するとアメリカ人は中途半端な架空のネーミングや日本の小説でよく見られるT大学、H株式会社などは受け入れないのかもしれない。私の好みはアメリカ方式だが。劇場公開2014年8月
          
          
          
監督
ガス・ヴァン・サント1952年7月ケンタッキー州ルイビル生まれ。

キャスト
マット・デイモン1970年10月マサチューセッツ州生まれ。製作と脚本にも参加。
ジョン・クラシンスキー1979年10月マサチューセッツ州生まれ。
フランシス・マクドーマンド1957年6月イリノイ州シカゴ生まれ。
ローズマリー・デウィット1974年10月ニューヨーク市クイーンズ生まれ。
ハル・ホルブルック1925年2月オハイオ州クリーヴランド生まれ。
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