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現実の問題として、他人事とは思えない「ある戦争」2015年制作デンマーク映画

2017-05-06 16:00:14 | 映画

              
 デンマークとはどういう国だろうか。外務省のホームページの文章に加筆しているが拾い出してみよう。「まず国土は九州とほぼ同じで人口も約570万人、兵庫県の人口とほぼ同じという小国。特に注目するのは外交政策で、欧州協力、環大西洋協力(米、NATO協力)、グローバル協力を中心とし、国際平和協力、テロとの戦い、民主主義を推進する観点から、アフガニスタン、マリやシリア等における国際的諸問題に積極的に取り組んでいる。
 
 国際平和協力では、 1948年以来、デンマークは国際平和協力の一環として、世界の紛争地域等に延べ6万人以上を派遣している。PKO等国連活動へは、南スーダン、中東・アフリカ地域等に派遣している。また、ソマリア沖海賊の取り締まり・商業用船舶保護のため、フリゲート艦及び哨戒機をソマリア沖に派遣している」

 そういう国の軍隊で起こった「人道に対する罪」の是非が問われる。アフガニスタンでオサマ・ビンラディンをかくまいテロ組織アルカイダに拠点を提供するタリバーンと戦い、住民を守る任務に就くデンマーク軍。

 その隊長クラウス(ピルー・アスベック)は、妻マリア(ツヴァ・ノヴォトニー)と三人の子供を残して指揮を執る。戦争でない状況における軍事作戦として、まさに国際平和維持活動の一翼を担うが気苦労が多く武器使用などの制約もある嫌な仕事といえる。

 ゲリラ攻撃が多いとなると住民だといっても信用するわけに行かない。監視活動は徒歩で行う。そんな時、タリバーンが仕掛けた地雷に触れた兵士が死亡する。帰営した部下からは「なんでこんな監視活動をしたんだ」という不満。さらに一人の兵士が極度の恐怖症に襲われる始末。部隊に陰鬱な雰囲気が漂う。

 そしてクラウス自ら監視活動に出る。発見した砲弾。その砲弾を狙撃兵が狙い撃って爆発させるため小高い丘の岩の陰にライフルを固定する。ところがバイクに乗った男がやってきてその砲弾を掘り出してバイクで遠ざかっていく。

 距離500メートル。クラウスは狙撃命令を下す。「バン」。射的場の人形を倒すように男は転倒する。仰向けにした男の写真を撮り狙撃手に誰かが聞く「マリウス、敵を仕留めた感想を1文字で」マリウス「バンのB」すると誰かの声「デスのD」そして全員で大笑い。

 同僚の死に慈悲の心を表すかと思えば、敵の死には残酷なほど見捨ててしまう。こういう人間の二面性を見ると不気味に思えてくる。戦争は人間の本性を表すのか、あるいは人間を変えてしまうのか。

 娘が火傷したと助けを求めてきて男の家に行って手当をすると、今度は家族を連れて宿営地にやってきて「タリバーンが夜やってきて仲間には入れといわれて困る。今夜も来る」要するに保護を求めてきた。

 それはできない相談ということで一旦帰宅させた。翌朝男の家に行って見ると家族全員タリバーンによって殺されていた。そこへタリバーンの攻撃が始まる。ロケット弾を撃ち込んで来るし喉を撃たれた部下が出るし混沌とした状態になる。

 航空機による爆弾投下を要請する。結果、多くの民間人を巻き込んだ悲劇となる。これの責任を求められ「人道に対する罪」としてクラウスは本国に送還される。部下の身の安全確保のために空爆を要請したのに、下手をすると刑務所暮らしとは割の合わない仕事といえる。

 ふと思ったのは、こういう事件が日本国自衛隊に起こったらどんな展開になるのだろうということ。今は、PKO活動は休止しているが、こういう事態に遭遇しないという保障はない。また、北朝鮮情勢が緊迫化する中では不測の事態は現実味を帯びる。

 今の日本は政治家を含めて平和ボケにどっぷりと浸かっていると言ってもいい。あの東日本大震災での政府の無力を見れば明らか。自衛隊員一人の死亡で時の政権が吹っ飛んでしまう筈。世界から冷笑を受けるのは確実。

 映画に戻ると、デンマークでこういう映画が作られるというのは、何か国内事情があるのかもしれない。国際貢献について議論が巻き起こっているとか。いずれにしても人類は大いなる無駄をしているのは確かのようだ。劇場公開2016年10月

監督
トビアス・リンホルム1977年7月デンマーク生まれ。

キャスト
ピルー・アスベック1982年3月デンマーク生まれ。
ツヴァ・ノヴォトニー1979年12月スェーデン、ストックホルム生まれ。
ソーレン・マリン1964年2月デンマーク生まれ。

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