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最寄のアーズリー・オン・ハドソン駅から電車に乗って窓から眺める一軒の家。レイチェル(エミリー・ブラント)が眺めるお気に入りの家は、線路脇に立つベケット通り15番地に建つ。その家は理想のカップルに思われる二人だった。
あれこれ想像する。夫の仕事は? 妻の仕事は? 寝る前にどんな話をするのか ?と想像力がたくましい。見ないでおこうとするがつい見てしまう。この他人を見て、その人の成り立ちを想像するというのは創造的な仕事を持つ人に顕著かもしれない。
レイチェルも広告会社のデザインの仕事をしていたことがあるし、イギリスの有名な作家ヴァージニア・ウルフについて、ウルフのレズビアン相手の息子が書いた本の中にウルフと一緒にロンドン行きの列車に乗り赤の他人の男を指差して「あの人はどこへ行くのかしら、また、どんな仕事をしているのか。結婚しているのか」と考えたことない? と言ったという。
レイチェルにとっては、そういう想像は自分の人生を取り戻したいと言う願望の現われに他ならない。不妊の体を抱えて苦悩のあまりアルコールに逃れ、昨夜の行状を覚えていないという記憶の空白がむしろ心地よい隙間となった。記憶の空白が苦痛ならとっくにアルコール依存症の治療を始めている筈。
夫婦仲が悪化するのは火を見るよりも明らか。トム(ジャスティン・セロー)と別れたレイチェルは友人の家に居候。今はトムの浮気相手だったアナ(レベッカ・ファーガソン)と赤ん坊が住んでいる。その家はトムと結婚したとき買ったものだ。
二軒隔てたところにメガン(ヘイリー・ベネット)が夫と住んでいる。車窓から見えるお気に入りの家だ。メガンはアナのベビーシッターをしている。ある日、二階のベランダでメガンが男とキスをしていたのを目撃。「まるで娼婦」とレイチェルは思った。
夕方の込み合う電車を降りてレイチェルは家路を急ぐ。目にしたのはメガン。追いかけて「アバズレ!」。翌朝、目を覚ますと血だらけの自分に驚く。まるで記憶がない。そのうちにメガンが行方不明になっているのを知る。レイチェルの複雑な行動とそのときの異様な精神状態を表す表情(メイキャップも多分に貢献している)に乗せられてメガンの事件がレイチェルが関与しているように見える。
ところが……である。ネタバレだからここまで。アルコール依存症を巧妙に織り込んだ映画だ。それに最寄り駅の「アーズリー・オン・ハドソン」は実在する。ニューヨーク州ウェストチェスター郡アービントンのメトロノース鉄道の駅だ。ニューヨークのグランドセントラル駅まで47分。私の住む千葉から東京までの時間に近い。通勤時間帯以外は1時間に1本しかない。
不便だなあと思うが、逆に都会から1時間離れれば豊かな自然を楽しめると言うことでもある。しかし、駅舎はかなり重厚で見てみたい気がする。メガン役のヘイリー・ベネットのナレーションが「アーズリー・オン・ハドソンは退屈な町」という。メガンのようにちょっと不良がかった女には刺激が少ないかもしれないが、子育てや休日に静かな時間を持ちたいと思うビジネスマンやウーマンにとっては安らぎの地と言える。そういう穏やかな地に男には分からない女の出産願望をベースに、これまた男のわがままが悲劇を生む。劇場公開2016年11月
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監督
テイト・テイラー1969年6月ミシシッピ州ジャクソン生まれ。
キャスト
エミリー・ブラント1983年2月イギリス、ロンドン生まれ。
レベッカ・ファーガソン1983年10月スウェーデン生まれ。
ヘイリー・ベネット1988年1月フロリダ州生まれ。
ジャスティン・セロー1971年8月ワシントンDC生まれ。
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