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題材も登場人物も風変わりではあるが、アマゾンが運営するIMDb(インターネット・ムービー・データーベース)には「非常にロマンティックなコメディ」とある。
トト(ラース・ アイディンガー)とザジ(アデル・エネル)、それにバルタザール(ヤン・ヨーゼフ・リーファース)が主な登場人物。三人に共通しているのがホローコスト研究。
トトは、激しやすい性格の持ち主でアウシュヴィッツ会議の主宰を巡ってバルタザールと大喧嘩をする。さらに妻ハンナ(ハンナー・ヘルシュプルンク)との関係も実に奇妙。外出するハンナに「時間通り帰って来てくれ。愛しているよ」と言って送り出す。これが何を意味するのか徐々に分かってくる。
ザジは、ユダヤ系のフランス人。研究所には研修生として参加している。
亡くなったノルクス教授が命じた主宰者バルタザールとトトは犬猿の仲。トトの祖父はナチスの戦犯で多くのユダヤ人を冥土へ送り込んだ。亡きノルクス教授の屋敷にある一枚の写真には、トトの祖父とザジの祖母が写っているのがある。かつては同じ学校の同級生だったが、戦争は二人を引き離し加害者と被害者という立場に追いやった。その末裔のトトとザジ。
ザジも猪突猛進型の特異な性格、しかも精神を病んでいると公言する。とはいっても明るさもあってときおりユーモアも見せる。ユーモアのかけらもないトトに言わせれば「茶化すな」になる。こんな二人でも喧嘩をしながら親密になって行く。
その過程でトトの悩みが明らかになる。ナチスの家系がうとましいし、そのせいかインポテンツでもある。妻が外出するのも、トトが性的に妻を満足させられないために一緒に男を見繕っていた。
レストランでトトに「夢であなたの裸の姿を見ることがある」と言うザジ。それに応えて「君の裸を夢で見ることがある」とトト。もうこうなったらベッド・インしかない。結果は、なんとインポテンツが治ったではないか。トトは妻にだけインポテンツだったのかな。
もう身も心もザジに向かうトトは、ハンナを捨てる決心をする。ところがバルタザールもザジと肉体関係にあり、こちらも妻と別れると言う。ザジはトトに気持ちが行っていて、バルタザールを突き飛ばして拒否する。
バルタザールは、トトとザジの仲を裂こうとザジをトトの兄と刑務所で会わせる。その兄は驚くべきことを告げる。まだ子供だったとはいえ、トトがザジの祖母を密告したというもの。
ザジは怒り心頭、男どもを振り払いフランスに帰る。5年後のニューヨーク。クリスマスの買い物客で賑わうストアで、ばったりとトトとザジが出会う。ひときわキレイになったザジ。可愛いい子供を連れている。「今はナイスバディのインド人女性と住んでいるの」ザジは両刀使いか。何事も驚かされるザジではあるが、失った恋はとてつもなく大きかったとトトの目が語っている。
「僕はずっと人生を探してきた。やっと見つけたのに何かが足りない。だがそれは何だ? 欲望、切望、渇望こうした気持ちがある限り鼓動は続く。何かを求める者は自我を超えていく、不合理な世界へも」というキャプションがつく。2016年制作 劇場公開2017年9月
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監督
クリス・クラウス1963年ドイツ生まれ。
キャスト
ラース・アイディンガー1976年1月ドイツ生まれ。
アデル・エネル1989年1月フランス、パリ生まれ。
ヤン・ヨーゼフ・リーファース1964年8月ドイツ生まれ。
ハンナー・ヘルッシュプルンク1981年9月ドイツ生まれ。