アフガニスタンに駐留する英軍軍用車で移動中、仕掛けられた爆弾によって左足を失ったコーモラン・ストライク(トム・バーク)が、婚約者と大喧嘩をする場面に遭遇したのはロビン・エラコット(ホリディ・グレインジャー)だった。派遣会社からの紹介で来訪したのだった。
コーモラン・ストライクは、借金漬けの私立探偵だ。面接は簡単なもので、散乱した書類を片付けるのが最初の仕事になった。
ストライクの弱みは、義足だった。犯人が全力で逃げるのをとらえ切れない。しかし、調査能力は、刑事の経験を生かしてしたたかで確実だった。軍隊で鍛えた頑丈は体に古びたオーバーコートに身を包み、ノーネクタイでラフ。取り立ててハンサムではないが、憎めない髭面の男だ。
チャーミングなロビンもストライクを友人として好意を持っている。ロビンには、恋人のマット・カンリフ(カー・ローガン)がいる。
ロビンは大学で心理学を専攻したが、うつ病になって中途退学の過去がある。心理学を専攻したのは、ひとえに事件を捜査するという仕事に就きたかったからだ。従って、たんに受付業務で満足するロビンではなかった。
派遣の期限切れに直接の雇用をストライクに訴えて快諾を得る。それも「カッコウの呼び声 前篇・中編・後編」の複雑な事件の解決は顧客を呼び込むことになったし、まとまった調査費が入ったためでもある。徐々にロビンの調査能力の高さが見えてくる。
ドラマは「カイコの紡ぐ嘘 前篇・後編」、「悪しき者たち 前篇・後編」と複雑に絡まった糸のような事件をロビンの活躍もあって解決する。
ストライクのオーバーコート姿は、トレードマークのようなもので事務所以外では脱ぐことはない。ロビンのファッションは、彼女にマッチしていてコートとボトムの取り合わせやシャツ・スタイルも参考になる。
しかし、輝いて見えるのは出版社の100周年記念パーティに出席したときの、ドレッシーな二人の装いだ。黒を基調にしたものだが、普段着からの変化に目を引く。
それにロンドンの街角の風景と郊外の丘陵地帯に見るゆったりとした雰囲気が好ましい。原作は、「ハリー・ポッター・シリーズ」のJ・K・ローリングが男性名のロバート・ガルブレイスというペンネームで書いたものだという。上質なミステリーに仕上がっている。
オープニングに重なるテーマ・ソングは、べス・ロウリーが歌う「I Walk Beside You」。その曲をどうぞ!
監督
マイケル・キーラー出自未詳「カッコウの呼び声」
キーロン・ホークス出自未詳「カイコの紡ぐ嘘」
チャールズ・スターリッジ1951年6月イギリス、ロンドン生まれ。「悪しき者たち」
原作
ロバート・バルブレイスこと、J・K・ローリング1905年7月イギリス生まれ。
キャスト
トム・バーク1981年6月イギリス生まれ。
ホリディ・グレインジャー1988年3月イギリス、マンチェスター生まれ。
カー・ローガン北アイルランド生まれ。